第7話 自分だけの魔法を見つける

「自分だけの魔法か? 見つからないな。」

 望は普通にご飯を食べていた。ご飯のメニューは、ご飯、みのそ汁、焼き魚、サラダのごく普通の品目だった。

「望、考え事してないで、しっかり食べなさい。美杉ちゃんを見習いなさい。」

 希は普通に望の家の台所を、望の祖母の手伝いをエプロン姿でしていた。

「わ~い! ご飯! ご飯!」

 天国生まれの美杉は、地上のご飯を食べるのが楽しみでワクワクしていた。神様の記憶操作のおかげで、すっかり美杉は馴染んでいた。

「美味しい! なんて美味しいんだ! ご飯ちゃん! 地上にこれて良かったー! 神様! ありがとうございます!」

 美杉は、見た目は女子高生だが、頭脳は小学生以下だった。

「たかが飯を食っただけで感動すな。うるさくて適わない。」

 喜びで涙を流す美杉を邪険に扱う。

「お兄ちゃん、いい加減、自分だけの魔法は見つかったんですか?」

「まだ。そういうおまえは魔法は使えるのか?」

「当然です! 夢の国で育ちましたから!」

 美杉は、魔法使いとしては万能型だった。

「美杉の夢は、望お兄ちゃんと、希お姉さんの結婚を祝福することです!」

 美杉は、よくできた妹であった。

「ありがとう! 美杉ちゃん!」

 美杉の言葉に感動した希は美杉を抱きしめる。

「夢? 魔法? 最近の高校は変わった宿題を出すんだな。」

「じいちゃん。」

 望のじいちゃんが話し出す。

「わしらの若い頃は戦争、戦争で疲れ切っていた。魔法なんて、夢の中で願ったものだ。「どうか戦争が無くなりますように。」ってな。争いが無くなるまでに100年は費やしているのが人間じゃ。ワッハッハー!」

「大変だったんだな。じいちゃん。俺は平和な時代に生きているだけ幸せだな。」

 望は、今の平和な世の中に感謝する。

「そうですよ。「欲しがりません! 勝つまでは!」それが戦時中の合言葉でした。夢や希望なんてなかったんだよ。毎日、生きていくだけで必死で、サツマイモが食べられるだけで嬉しかったんだからね。」

「だから我が家には、よく焼き芋が出るのか。」

ばあちゃん、希の好きな食べ物は、焼き芋である。これはばあちゃんの若い頃の経験からであった。

「今の私の夢は、健康に長生きすること。生きているだけで丸儲けだよ。望と美杉と遊ぶことができるんだから。まるで夢を見ているようだ。」

 その時、望の頭の中で何かが閃いて一つにまとまった。

「あああああー!!!!!」

 その時、望は何かに気がついた。

「見つけたぞ! 自分の魔法! 俺だけの魔法を!」

 望は、自分だけの魔法に、自分だけが使える魔法を思いついた。

「ありがとう! 希!」

 望は希に感謝して走り出す。

「俺だけの魔法! それは、夢の魔法だ!」

 望の魔法属性は「夢」に決まった。

 つづく。

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