第6話 妹が姉として現れる
「俺だけの魔法か? いったいなんだろう?」
望は、神様の言葉を思い出し、自分だけの自分のための魔法を考えていた。
「弟の魔法か? 何がいいんだろう?」
望の横で悩む女子高生がいた。
「弟!? 誰だ!? おまえは!?」
「美杉だ! おまえの姉だ!」
現れたのは、夢の国で出会った妹の美杉だった。
「美杉!? なぜ!? おまえがここにいる!? しかも、その姿はなんだ!?」
夢の国で出会った美杉は小さく幼かった。しかし目の前にいる美杉は、普通の女子高生だった。
「神様に「もっとお兄ちゃんと遊びたい!」と言ったら、魔法が使えないお兄ちゃんのサポートをしてあげなさいって、私に命をくれて地上に送り届けてくれたの。」
「何という神様だ!?」
美杉は、神の力で地上に舞い降りたのだった。
「それでね! 私とお兄ちゃんは、双子の設定で、私の方がお姉ちゃんなの。人々の記憶も神様が書き換えてくれているから、OK! 問題なしなんだって! やったねー!」
「良くない! 全然、良くない!」
神様の力は偉大であった。
「こら! 望、お姉ちゃんに甘えてもいいんだぞ! ワッハッハー!」
外見は女子高生だが、美杉の頭脳は子供のままだった。
「ややこしくなるから、せめて双子の妹にしような。」
「望! 弟のくせに、お姉ちゃんに口答えするのか?」
美杉は、望お兄ちゃんと遊んでいるのが楽しくて調子に乗っていた。
「おい、分かったのか? 美杉。」
このややこしいシチュエーションに怒った望が美杉に襲い掛かる。
「ギャア!? 分かったよー!? 妹でいいから!? ギブ!? ギブ!? ギブアップ!?」
望に首を絞められた美杉は、遂に降参する。
「キャアー!? 望が私以外の女とイチャイチャしている!?」
希が、望と美杉が兄弟仲良くプロレスごっこしているところに現れた。
「最低よー!? 望!? さようなら!」
希が望に裏切られたとショックを受けて涙を流しながら走り去ろうとする。
「ご、誤解だ!? これには訳があって!? 待ってくれー!? 希!?」
望は手を伸ばすが、美杉が邪魔で追いかけることができない。
「なんてね。おはよう! 美杉ちゃん!」
「おはようございます! 希お姉さん!」
方向転換した希はケロッと笑っている。
「え?」
望だけが鳩が豆鉄砲を食ったよう顔をして戸惑っている。
「美杉ちゃん、相変わらず兄弟で仲がいいわね。」
「はい。不束な兄ですが、よろしくお願いします。」
希と美杉は、昔からの二人は顔見知りのように仲良しだった。
「神様が記憶を改ざんしたというのは、こういうことか。」
望だけが損をした気分であった。
つづく。
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