第33話 おばあちゃん加入

「いいですか、なにやったかお分かりですか。あの状態で全員を蘇生させたんですよ。幸い。パステルが邪魔してくれたからいいですが。ビシ!!」

 ……ビスコッティのビシバシタイム終了。

 

「はい、頑張ってよかったです!!」

 パステルが笑った。

「狙撃出来たんだね」

「はい、狩りで食料を得る時があるので。木の上にいたらいきなりですよ。事態は分かったので、即応しましたが」

 パステルが笑った。

「助かったよ。さて、みんな立てるかな……」

 マルシルの家の床で転がっていたみんなは、ブツブツ文句いいながら、宴のご馳走では足りず。なにか料理を作っていた。

「あの、スコーンさんの使った魔法って、蘇生魔法ですよね。覚えたいです」

 キキが小さく笑みを浮かべた。

 あれはダメだよ。全体蘇生魔法。私の魔力だから平気だし、そもそも一級禁術らだかダメ!!

 私は笑った。

「もうちょと研究すると、単体だけじゃなくて、複数もイケるようにはなるよ。理論上だけど。頑張って」

「はい、頑張ります」

 キキが笑みを浮かべた。

「さて、寝ますか。依頼が終わったから帰ろう!!」

 私は笑った。

 

 昼のうちにハンモックを用意したため、あとは寝るだけだった。

「あの、明日の出発を昼間で延ばせませんか。ある人を呼んだらら、すぐに行くと連絡があったのです。よろしいですか?」

 マルシルが一礼した。

「うん、いいよ。やる事ないし」

「ありがとうございます。ヘリで行ける場所ではないので」

 マルシルが笑みを浮かべた。

「へぇ、誰がくるの?」

「私の祖母です。優しいですよ。落ち着いたら見にいくといわれまして」

  マルシルは笑みを浮かべた。

「それいいね。会いたい!!」

「私も久々なので、早く会いたいです。馬なので遅いですが、よろしくお願いします」

 マルシルが笑みを浮かべた。

「どんな方なんですか。躾が厳しいとか怖いとか……」

 キキが不安そうにいった。

「大丈夫ですよ。ただの普通のおばあちゃんです」

 マルシルが笑った。

「ビスコッティ、おばあちゃんの入場許可取れた?」

「今やってます。研究室に入れないのでは意味がないので、そちらの許可も同時にやっています」

 ビスコッティが、無線片手に笑みを浮かべた。

「三分待ってくれだそうです。楽しみですね」

「うん、楽しみ!!」

 私は笑った。

「おいおい、棟長の許可なしに研究室の入れるのかい」

 リズが笑った。

「それは私から。私の祖母が訪問にきます。よろしいですか?」

 マルシルが笑みを浮かべた。

「しっかし、どんな人だろ?」

「会えば分かります。私はおばあちゃん子なので、とても楽しみです」

 マルシルが笑った。

 翌日。家でマルシルのおばあちゃん待ちをしていると、さっそく来訪者があるとスラーダが呼びにきた。

「あっ、おばあちゃんかもしれません」

 マルシルは勢い良く家から飛びでていき、私たちは後についていった。

「マルシル、ちゃんとやっているようですね。おばあちゃんは、それを気にしていたのです」

 おばあちゃんは、柔和な笑みを浮かべた。

「ですが、やる事をやらねば。マルシル、きなさい」

「……はい」

 おばあちゃんは、マルシルが前に立つと、軽く平手で叩いた。

「なにが冒険者になりたいですか。父も母も、まだ許していません。でも安心しました、カリーナという魔法学校で働いていると読みました。居場所があるならよいのです。安心しましたよ」

 おばあちゃんは、マリシルからこちらに目を向けた。

「みなさん大事な方と手紙を読みました。上司のスコーンさんはどなたでしょうか」

「私です」

 私はおばあちゃんに答えた。

「うちのマルシルが、お世話になっています。手紙にありましたが、大変よく出来た方のようで、エルフのマルシルでも気にしないとか。ありがとうございます」

「当然です。能力があれば採用する主義です」

 私は笑みを浮かべた。

「なかなか出来る事ではありません。時間がお昼に近いです。さっそくカリーナに行きましょう」

 おばあちゃんは楽しそうにいった。

「ここまでの馬車の整備と、馬の世話は任せて下さい。

 スラーダが笑った。

「よろしくお願いします。ここからは、空を飛んで移動出来るとか。楽しみです」

 おばあちゃんは優しい笑みを浮かべた。

「よし、カリーナに帰ろう。帰りの操縦はピスコッティとパトラだね」

 こうして、私たちはヘリでカリーナに戻ったのだった。


 帰ってからが大変たった。

 ビスコッティが裏で根回をしていたのに、カリーナの入場許可と研究室入室の許可がなかなか下りず、イライラ待つ事一時間。やっと許可が下りた。

「お待ちどうさまでした。魔物が消えたら魔獣が増えてしまって、どうも厳しくしたようです。やっと許可が下りたので、行きましょう」

「はい、お手数お掛けしました」

 今頃は、みんなで慌てて研究室の掃除をしているはずなので、間に合ったかどうか分からないが、まあ、それならそれで怒られようと、私とビスコッティは、研究棟に向かった。

「なるほど、これがエレベータというものですか。不思議な機械ですね」

 研究棟のエレベータに乗って四階。私の研究室に着いた。

「ダメだスコーン。完全にこびりついちゃって……あれ、間に合わなかった。こんにちは、警備隊長の犬姉です。もちろん、本名でじゃありません!!」

 談話コーナから出てきて、困り顔の犬姉が苦笑した。

「これはご丁寧に。素敵な研究史ですね。半分は談話コーナとなっていますが、どういうことでしょうか?」

「案内します。みた方が早いです。

 私は笑った。

「なにか、美味しそうな匂いがしますね。失礼します」

 談話コーナをみて、おばあちゃんが笑った。

「研究室と聞いて、さぞ難しいものがあると思ったのですが、これは愉快な場所ですね」

「あ、歓迎の支度をしようとして、肉を焼いていたら焦げてしましました。

「なにやってるの、学食で買ってきなさい!!」

 料理をしていたアリサがなんか失敗したらしく、慌てて購買に走ろうとした。

「お任せ下さい。こういう時は、次元回復で……ほら、材料に戻りました」

 アリサが目を開きながら、鍋に入れてコトコト煮ている何かに戻った。

「驚いていると、また焦げてしまいますよ。せっかくの歓迎なのに、差し出がましいことをししました。

「いえ、助かります。今度は気をつけて……」

 アリサが料理を再開した。

「調理中に掃除はだめですよ。私の孫なら、ベチコーンと一発いくところですが、今日はお客さんですからね。大人しくしておきます。ちなみに、その汚れは重曹が効きます。クリーナーと違って、効き目マイルドでしが、すすぎに失敗しても無害です」

 おばあちゃんが笑った。

「さて、お邪魔はこのくらいにして、ここは色々揃っていますね」

「今。たき火を起こしますね。ここは安全に直火でたき火が出来るようにしてあるんです」 私は薪を積み上げ、着火剤で火付けた。

 ますます凄いですね。

「あの、これから先は、いつもの崩したきます。おばあちゃんは、なぜここに?」

「はい、エルフの集落がいくら閉鎖的でも、外の情報や人間のお金が必要なります。そのために、近くの町で買い物するんですよ。その決まりを悪用しただけです。

 おばあちゃんは、ペロッと舌を出した。

「そんなことしたら、私と同じで追われるよ!!」

「あら、エルフに追われいるのですか。どこの里の誰かは名乗る事は、子供の時から教えられてるはずですが……」

 おばあちゃんが

 鞄から便せんを取り出した。

「ち、違うよ。人間だよ、人間!!

 私は慌てて手を振って違うというアピールした。

「あら、そうですか。人間となると手が出せませんね」

 おばあちゃんが笑った。

「ご飯が出来ましたよ!!」

 パステルの声が聞こえ、ささやかな歓迎パーティの準備が出来た。


 ご飯が終わり、なんだか和やかになってきた。

 ビスコッティがマルシルを連れて、たき火脇に連れてきた。

「孫も立派になったものです。スコーンさんでしたね。出来はどうですか?」

「まだまだだけど、攻撃魔法なら初級はクリアしたかな……」

 私は笑った。

「二人とも座りなよ」

「はい」

 マルシルがおばあちゃんの隣で、ビスコッティが私の隣に座った。

「師匠、おばあちゃんは、ここ専門の家政婦として登録し、寮の部屋もあります。その他、職員としての登録は全て下りています。用務員ですので。制服はジャージになります」

 ビスコッティがおばあちゃんに、赤いジャージを手渡した。

「これはこれは……ちょっとテントを一基お借り済ますね」

 おばあちゃんはテントに入り、すぐに出てきた。

「これはいいですね。里を捨ててしまったので、寝泊まりに困らないか心配だったのです」

 おばあちゃんは笑った。

「ビスコッティ、どんな仕事してもらおうか?」

「そうですねぇ。掃除と火の元確認くらいじゃないですか」

 ビスコッティが笑みを浮かべた。

「そうだね。変な装置があったりする事があるかもしれないけど、それを弄ってぶっ壊さないでね」

「はい、逆に誰かきたら逆にぶっ殺します。アリサさんも警備でこの部屋の専属とか。交代が出来てよかったかもしれません」

 おばあちゃんは、巨大なアーミーナイフをみせた。

「は、はい。私より強かったらどうしよう……」

「うん、クビ。頑張るように!!」

 速攻犬姉が笑った。

「ぎゃあ、クビだなんてそんな!?」

「だったら、鈍った口こいてるんじゃねぇ。バカ」

 犬姉がアリサをにゲンコツを落とした。

「……ナイフ欲しい。買っていい?」

 ビスコッティが、指を咥えながら私ににおねだりした。

「買えばいいじゃん」

「師匠から欲しい……」

 ビスコッティが泣き始めた。

「な、なんじゃ!?」

 わたしは空間の裂け目から医療用のメスを取り出し、ビスコッティに手渡した。

「さて、用務員は雑務が仕事と聞いています。煎餅でも焼きますか」

 おばあちゃんは立ち上がり、部屋の隅に置いてある荷物から、七輪や隅を取り出し、器用に火をおこして煎餅を作りはじめた。

「煎餅だ。ビスコッティ、お茶を全員分!!

「はい、師匠」

 ビスコティが、キッチンに向かっていった。

「おばあちゃんの煎餅は美味しいですよ。期待して下さい。

 マルシルが笑った。


「うん、美味しい」

 おばあちゃんの煎餅は、甘辛だれの少しピりっとしたものだった。

「へぇ、始めて食べたけど、惜しいしね」

「はい、師匠。なんでもタレが企業秘密だそうで」

 ビスコッティが笑った。

「そっか、ビスコッティはこれ知ってたの?」

「それが、いくなんでもそこまでは調べられなかったですし、知らなくてもいい情報だったので」

 ビスコッティが苦笑した。

「それもそうか。もう一枚!!」

「はいはい、材料はいくらでもありますから、慌てて喉に詰まらせたりしないで下さいね」

 おばあちゃんは笑った。

 こうして、研究室にはマルシルのおばあちゃんが加わったのだった。

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