第2話 双子の美少女に呼び止められた凡人くん


「トキヤー! 朝だよー! 起きなって! 」


「ん、んー! ! もう朝か」


 ぐっすり寝ていたせいか、なんだか時間が経つ逃れ早く感じた。


「トキヤ、あんた今日は学校に早く行かないといけないんじゃないの? 」


「へ? あーー! ! !」



 忘れていた。今日は生徒会の手伝いがあるんだった!



 別に生徒会に入っている訳ではないが、生徒会に仲の良い友人が居てそれを手伝っているだけなのだが。


「やっべ! 行ってきまーす! !」


「トキヤーー! ! 弁当忘れてる! ……ってもういないし。はぁ……。まったくもう! 」


「はぁ、はぁ、飛ばしてきたけど少し早かったかな? 」


 昇降口には俺一人しか立っていない。


 廊下の時計を見てみると、まだ7時40分過ぎで、よく考えてみたら誰もこんな早く来るはずがない。


「「あれ……」」


「清水くん? 」


「! ? ときや! !」


 同じような声が校舎に響く。


 そこには、顔も髪型も髪色もなにもかもそっくりな美少女が二人立っていた。



「お、海幸に恵美華! 早いな! 」


 そう、この二人が似ているのも無理はない。なぜなら、性格は全然違うが、実の双子の姉妹なのだ。

 轟海幸。恵美華の双子の姉で、容姿は言うことない! だが、性格はふわふわしていて、不思議ちゃん全開の天然娘だ。

 中々手強い一面も備えている。


 もう一人の双子の妹、恵美華は、凄く自己中で、なにかあるたびに姉の海幸をすぐ頼るのだ。良いところがない訳では決してないのだが、でも実は姉の海幸も知らない裏の顔が

 恵美華にはあるのだ。


 なぜそんな事言えるかって? その裏の顔ってのを見たのが俺しかいないからだ。


 その裏の顔とは……、この恵美華という美少女は、普段は絶対に人に弱味を見せない。

 弱味どころか、自分が不利になるような事は絶対に人前ではしない。


 まあつまり何が言いたいかと言うと、恵美華は俺にだけ超甘えん坊なのだ! !


(俺と二人の時限定だが……)


「どうしたのときや! なんだか顔色が悪いけど……」


「たしかに。少し体調が悪そうに見えるね」


「そう、か? 俺は全然元気だぞ! 」


「ならいいんだけど」


「ったく! 心配かけるんじゃないわよ! 」


 こ、こいつ! ! 二人でいる時と全然対応が違う! てか、ほぼ別人だろ! ?


「じゃあ、俺は行くな! 生徒会の仕事を手伝わないと行けないから」


「あー、だから珍しくこんな早く来てるのね」


「そういうことだ! 」


「そっか。なら急がないとだね! もう8時前だよ! 大丈夫? 」


「やっべ! ! それじゃあな! また後で! 」


 予想外の双子の呼びかけに時間を使ってしまった。


 まあ、あの二人と話すのは嫌ではないというか、むしろなんか嬉しい。方だと思う。


 って事を考えながら俺は、生徒会室に向かうのであった。












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