僕を救ってくれたちょっと変わった美少女たち
蒼井子猫
第1話 同級生美少女は不器用
高校二年生になった俺、清水時夜は、いつものように下校しようとした時のことだ。
なにやら背後に視線を感じる。
恐る恐る振り返ると、そこには一緒のクラスの美少女同級生の美坂莉乃が、こちらを見ながら挙動不審な態度でなにやらブツブツ言っている。
「なんだ、美坂か。誰かと思ったよ」
「な! なんだとは失礼だなぁ! ! 」
美坂とは高校一年の時に、隣の席になって以来よく話す仲だ。
美坂はなんと言っても可愛いの一言に尽きる。背は高過ぎず、低過ぎずで、丁度いいってやつだ。髪はピンクに艶々の髪質で、見てて惚れ惚れするような緑色の透き通った瞳。
まさに誰もが彼女にしたいであろう、ちょっと天然な美少女だ。
「ごめんごめん! でも、なんで美坂は俺をじっと見てたんだ? 」
「そ、それは……」
なんだ? こんな恥じらってる美坂なんて見たことないぞ! ! なんか、可愛いな。
「清水さ、いつも下校の時間になると一番に帰るよね」
「あ、ああ、まあな! いつまでも学校に居るよりか早く家に帰った方が楽だしな」
「そう、なんだ……」
「お、おう」
それにしても今日の美坂はなんかちょっと変だな。
「あ、あのさ。もし良かったらなんだけど、その、一緒に帰らない? 」
へ? 今なんて? 美坂が俺と一緒に帰ろうって言った? ?
「いいけど、どうしたんだ? 一年の時だって一緒に帰ったことなんてなかったのに」
「まあ、そこはいいんだよ! で、どっち? 帰ってくれるの? 」
「ま、まあいいけど」
そうして俺は美坂と初めて一緒に下校した。
帰り道の事だ。俺は、何を話していいかもわからず、ただただ無言でいた。
そんな不穏な空気を吹き飛ばすかのように綺麗な声が俺に話しかけてきた。
「ねぇ、清水は普段なにしてるの? 」
「なにって、まあ、家でくつろいだり、まあその他色々だな」
「そう、なんだ……」
ーー会話終了ーー
あれ、会話ってこんなに難しかったっけ?
なんて事を考えているうちに美坂の家に着いた。
「じゃあ、俺は行くな」
「うん、送ってくれてありがとね! 」
「おう、じゃあまた明日学校で」
ー ー ー ー ー
「ただいまー」
「おかえり! トキヤ! 遅かったね! 」
帰って来た俺に声をかけてきたのは、一つ年上の姉貴、清水咲夜だ。この女、実は超がつくほどのブラコンで、とんでもないかまってちゃんなのだ。
まあ、面倒くさい部分は多々あるが、俺の事をちゃんとわかってくれる数少ない理解者でもある。だから感謝してもしきれない。
姉貴は、三年生の中では一番モテる。なんと言ってもビジュアルが半端なくいい!姉弟でなければ間違いなく惚れていたであろう。
背は女子の中では高く、細身でスラッとしていて、髪はムラがない茶髪で、髪質は少しクセッ毛なのがまたいい! !
茶色い瞳に真っ直ぐな眼差し。この瞳で見つめられた人は一発で姉貴に惚れるに違いない。
「あ、先お風呂入ったから! トキヤも入ったら?」
「お、おう。そうする」
体を洗い、湯船に浸かると、一日の疲れが吹き飛ぶように気持ちがいい。
「はぁ~! ! やっぱり風呂は最高だなー! このままここで寝てしまいたいくらいだ」
そんか訳にもいかず、体の疲れがほどよく取れたところで、体を拭き、寝巻きに着替えてリビングに向かった。
「随分ゆっくり入ってたね」
「ああ、なんだか今日は一段と疲れた気がしたからな」
晩飯を姉貴と食べた後、自分の部屋のベッドに横たわると、ベッドの寝心地がいいからなのか、疲れていたのかはわからないが、この日はすぐに眠りにつけた。
この時はまだ、俺に楽しい日常、いや、俺の人生をあんな美少女たちが救ってくれることになるとは……。
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