第8話 突撃!縁結寺‼

 

 「この下が『縁結寺』で間違いないみたいです!」

 「…動くな、狭いんだから」

 ちなみに俺とキョウがどこにいるかと言うと、天井裏。このスペースの理由でもあるのだけど、エアコンの一つの電源を切り、そこから下を覗き込んでいた。…ぶっちゃけ、狭くて暗くて汚くて暑い…そら、ふつー人がいる空間じゃねぇからな…

 

 「でも、こーゆー所に身を潜めてるのは、まるで」

 「ゴキブリですね」

 そこ〝忍者〟じゃないのぉ⁉


 「人知れず、天井裏から様子をうかがう、まさに」

 「ストーカーですね」

 ストーカー物理的に天井にいねぇよ‼

 

 ちなみに、あんな状態のシルバは、途中で置いてきてアンさんに連絡して保護を願った。傷的にはキョウの怪我のが重いんだけど…大丈夫なのか?あれ…

 「…何で、ヘンな目で見てるんですか?」

 心配した俺が悪かったな、すまん。


 「しかし、こりゃ…寺ってか、葬式だな」


 入り口に記帳カウンターがあって、記帳するとずら~っとならんだ弔問客席に座らされる。その前に左右に列を作る親族席。正面には祭壇があって、坊さんが座っている。弔問客は順番に一人一人坊さんの所まで行ってお線香をあげる、と。


 勿論、お葬式をやってる訳じゃない。


 まず、親族席の所にいるのは教団?関係者だ。そして、坊さんの場所にいるレインコートの男は、祭壇ではなくお客様の側を向いている。客達がそこ行ってやるのは焼香ではなく、その場所の机に置いてある真紅のドクロへのお祈りだった。


 「あのドクロ…間違いありません!」

 あのレインコートも…間違いないな。


 …まぁ、大凶星がここにいた時点で、予想はしていたけども。あの現場からこの町は結構離れているし、町の人たちの様子もまるで他人事だ。


 「〝レインコートの男〟の人相書きは出ているのに…大胆ですね」

 「それ俺の写真‼」

 しかも罪状が『のぞき・痴漢』になってんぞ、おい‼


 さすがに、まさか現在進行形の俺達の騒ぎが知られていないって事はないだろうけども、見た限り、集会は淡々と続けられているようだ。階段が崩れたのは、結構な轟音と振動だったと思うのだけど、この雨で軽減されたとかなのだろうか?


 そしてまた、一人の女性がドクロの前に現れた。…姉貴だ。


 …何故分かるのかと言えば、あの身につけているブランド品は、全て俺が買い取った物だからだ。店のモン持ち出し過ぎだ、姉貴…


 「君の悩みは…分かってるよ。そう、男運の悪さだね?」

 うん、チラシにそれを相談しに来いって書いてあったよねぇ。


 無論、白フードの男…トキは、それが俺の姉だなんて知る由もない。他の女性達へと同じく、営業スマイルで「全て運命のせいで、あなたは悪くない」という言い訳の羅列を並べ立てる。より強く運命を呪わせ、それを吸い取るのが目的だから。

 そして、姉貴は差しのべられた白いコートの男の手を…


 がしっ


 思いっきり強く握り返した。

 「…あれ?」

 「やっぱり、私が結婚できないのは男〝運〟が悪かったからなのね⁉」

 「あの」

 「そーじゃないかと思ってたのよ!それ以外、考えられないから‼」

 「えーと」

 「あ、いい所まではいつも行くの。でも、最後の最後で上手くいかないのは…」

 すげぇ…あのドクロの男に勝ってるぞ。トキは細い目を倍くらいに開いて、その中で瞳を左右へしどろもどろ。しかし、しっかりと両手を握られているので逃げられない。その眼力から逃れる術はないのだ。さすがは姉貴。


 「ちょ、そんな身を乗り出したら…」

 「やべっ⁉」


 俺に全体重を預けられ、ついに限界を越えてエアコンが落下した。キョウは慌ててその両手で俺の両足を掴むも、重さに耐えきれる筈もない。自然に重い頭が下になり、俺の両足を掴んだまま、キョウの足は俺の脇の辺りを踏みしめていた。

 「って、必殺技みたいな体勢になってるけどぉ⁉」

 「どりゃぁぁぁああああああああああああ‼」


 ずががががががががががん


 「…黒服が居なけりゃ、即死だった」

 別に俺を助けようとしたわけでもないのだろうけど、いきなり空から落ちてくる何かをどうこうしようとした結果、黒服3人が俺を受け止めるクッションになってくれた。さらにエアコンに押しつぶされた不幸としか言いようがない人達。

 勿論、俺も無傷ではなかったけども。か、体中が、痛ぇ…


 「手前ぇ!今、完全に俺を殺しにかかってただろ⁉何だ、あの掛け声‼」

 「言いがかりはやめてください。体が勝手に動くのは、達人のサガ!」

 「結局、殺そうとはしてるじゃねーか‼」

 誰が達人だ、このへっぽこニンジャ‼


 口論する俺達に集中する数十人の視線…それに気づくのに、そう時間はかからなかった。それらは全て〝開いた口が塞がらない〟という顔だ。そりゃそうだわな…いきなり空から降って来た、野球のユニフォーム&赤い忍者服…


 勿論、その中には敵兵もいたりする。そいつらが俺達をすぐに取り押さえなかったのは、その前に白いコートの男が立っていたから。営業スマイルなのか判別しづらい細い目をこちらに向けつつ、トキは白々しい台詞を吐き出した。


 「キミたちは何者かな?」

 「に、ニンジャじゃありませんよ⁉」

 …そのナリで忍者じゃなかったら、何なんだよ…


 「私達は…アレですよ!アレ‼ね⁉」

 俺に振るな。

 「えーと、エアコンの掃除係?」

 「そうそう!コンロの掃除をしてたんです‼」

 「コンロ天井にねぇよ‼」


 「ち、違…そう、『エアーコンロ』の略です‼」

 「何だその謎道具は‼」

 「え、あの、そのぉ…『コント』?」

 それは今、俺達がやってる事だ‼

 

 「…ちょっと、アユムちゃん?」

 やべぇ…当たり前だけど、姉貴が声をかけてきた。今はまだ、やや眉をしかめて不思議がっているだけだけど、返答を間違えば魔人と化して俺をボコり倒してくるに違いない。考えろ、考えるんだ!ここにいる『正当な理由』を‼


 「こんな所にそんな子連れてきて…何してるの?」

 思いつかねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼


 「私がここに来たのは…あなた方を救う為、そしてあの男を捕える為、です‼」

 返答に窮して頭を抱える俺の前に仁王立ちし、大仰な〝犯人はお前だリアクション〟でキョウがドクロの男…トキを指さす。瞬間、会場がざわついた。まさか何かの事件なのか、やはり悪い宗教だったのか…幾らでも思いつくものだ。


 ただ、指さされた側は、余裕ある微笑を崩していなかった。


 「ボクを?一体、どんな咎があってボクは捕えられるのかな?」

 「そのドクロが何よりの証拠です!言い逃れはできませんよ‼」

 「このドクロはボクが持ち主から合法的に手に入れたものだが…何か?」

 「それで、不幸な人々から〝運命を呪う思い〟を吸い取っているでしょう‼」

 「うん」

 トキはあっさりと認めた。


 「それが、何か?」

 「何か、だと…⁉」

 怒りの表情で真っ赤な片目を燃え上がらせ、キョウの動きが止まった。


 「…何が問題なんでしたっけ?」

 ちょっと待てコラぁぁぁぁあああああああああああああああ‼


 キョウが首を傾げて俺に助けを求めてくる。そして、今やこの会場の全ての人間の視線が俺へと向けられていた。や、やばい、何か、何か言わないと…


 「ええと、運命を呪う思いを取られた人は何かないの?気力を取られるとか…」

 「特には…あ、告白する事でスッキリするかもしれないね」


 「じゃ、じゃあ、何の効き目もない〝お祈り〟に高額の金を取ってるとか…」

 「お金なんて一円も貰っていないよ?勿論、効き目はバッチリさ」


 「な、なら、あのテロリストは何なんだよ⁉」

 「そのテロリストって、どこにいるんだい?僕にいるのは外国人の友達だけさ」


 あれ?


 俺とキョウは互いに反対方向に首をかしげてみる。…そして、ふと思った。俺、逮捕の権限とかあんの?確かにマフィアとの『疑惑』はあっても『現行犯』じゃねぇよなぁ…無論、裁判所の令状なんて持ってる筈もない。

 そうこうしている間に、時間だけが無慈悲に過ぎていく。時間は人々に意識と冷静さを取り戻させ、ただ真っ白い瞳が俺達には向けられていた。


 「バカか?貴様は」


 その声が会場に響くまで。

 「何も言わず制圧しろ。説明する義務などないだろうが」

 「リョウマ様‼」

 そのロクデナシな言い回し…やっぱりあのニンジャマスターだった。


 堂々と正面の扉から入ってきたリョウマは、いつもと同じく純白の制服を着て、帽子を深々とかぶる。貴公子を体現するその男が、自信に満ちた足運びでこうも堂々と進まれれば、誰も怪しいなどとは思わなかった。

 ましてや、この会場の殆どを構成するのは〝イイ男を探す〟雌豹たち。


 「この素敵な男性は⁉アユムちゃん!紹介しなさい‼」

 「ニンジ…え~っと…国家の出先機関の人だよ」

 「…つまり、公務員…まぁ」

 思いっきり打算が見え隠れしてますけどぉ‼


 「悪い運気を吸い取って貰った途端、こんな素敵な出会いが‼」

 …いや、まだ吸われてないっす。


 「弟がぁ、いつもぉ、お世話になってまぁす!」

 おいぃ、キャラ変わりまくってるじゃねーか‼


 勿論、リョウマは振り向きもしなかった。それまで会場を歩いてきたのと同じく、姉貴の前も無言のまま通り過ぎようとする。

 代わりに、ではないが、キョウが両手を広げて姉貴の前に立っていた。


 「…何かしらぁ?お嬢ちゃん」

 「リョウマ様に近づかないでください!」

 「あら?…どーしてかしら?」

 「リョウマ様に相応しいのは、輝く美しさを持ち、全ての生物を愛する心を抱き、片手でドラゴンを倒せる武勇の、天空の血とかを引いてる貴婦人だけです‼」

 …もはや勇者じゃねぇか、それ。


 「私はね、…ドラゴンを倒した事があるのよ?」

 嘘つけぇぇぇええええええええええええええ‼


 「ド、ドラゴンじゃありません!私はサタンと言ったんです‼」

 …もう、お前ら魔王を倒す旅とかに出ろよ…


 残念ながら、二人のコントを見ているのは俺だけだった。会場の全員が、たった一人の一挙手一投足だけを見ていたから。その容姿に反し、優雅ではなく威厳しか感じられない、誰も近づけない圧力を発して無言で会場を歩いていくリョウマを。

 

 目指すは真紅のドクロ…と思ったら、曲がって〝関係者席〟へと歩を進める。


 間違いなく〝関係者席〟の教団戦闘員達は、リョウマが不審者と分かっていた筈だ…分かっていた筈の彼らではあったが、その余りにも堂々とした非常識さは彼の手に余り過ぎた。色々な物がマヒしてしまって全てをこわばらせる。

 その六番目に座っていた男の前で、リョウマの右目が光った。


 「〝地速星〟」

 いきなり、黒服の一人の首筋にリョウマの人差し指を突き当てられた。次の瞬間、ガクリと膝から落ちた、黒服はそのまま地面に横たわった。


 「〝地俊星〟」

 目の前で倒れる同胞を見て反射的に立ち上がりかけた、反対側3番目の男の額を、リョウマが振り返りざまに左の人差し指で突く。それに大げさに驚いた男は大きく仰け反って…その後頭部を後ろの男の顔面にぶつけ、仲良く気絶した。


 「3人。これで武力は排除した。残りを制圧しろ」

 やっぱあのニンジャマスターハンパねぇな‼

 

 「かしこまりました、リョウマ様」

 いつの間にか、アンさんと…そして、完全武装の機動隊員達が入り口を固めていた。すぐさま隊員の何人かが部屋の中に散る。完全に予定の行動という奴だ。…どうやら、キョウが上から送り込んでいた映像から中の情報を知っていたらしい。


 あれ?そういえば…

 「ケイなら、シルバの保護に向かわせましたよ」

 …まだ何も言ってないのに。


 「それではリョウマ様…一般人の避難と残る関係者の拘束に移ります」

 アンさんが見事な手際で、その背後からワラワラ現れる警察関係者の制服に指示を出し、テキパキと一般人を会場の外に連れ出していく。姉貴も含めて、何が起きたのか全く分からない様子だったが、とりあえず〝制服〟に従った。


 一方〝縁結寺〟の関係者達は、何の抵抗もできずただオロオロするのみだった。一応、機動隊員が身構えているものの、抵抗の意志はなさそうだ。

 その理由は、どうやらリョウマが最初に倒した3人、『武力』が真っ先に排除されてしまったかららしい。その他一般の黒服は外の連中と同じく、ただのボディーガードと警備員の中間…「八門」だの「五行」だのとは無縁の一般人だった。


 そんな有象無象に目もくれず、リョウマは距離を縮めていた。ドクロへの距離を、である。…リョウマにとって、トキは『ドクロが載ってる台』程度の存在だ。


 トキはリョウマから視線を外せずにじりじりと距離を取るも、その他の関係者はすでに逃げようとして捕えられ、もはや周囲には誰もいなかった。出入り口も全てアンさんの指示で塞がれ、後ろへ後ろへと追い詰められていくのみ。

 装飾が剥ぎ取られて露になったのは『ただのオフィス』だった。やはり、この会場はビルの一室ではあるらしい。披露宴会場を思わせる広い部屋だったが、机やコピー機などを全てなくせば元々普通のオフィスにもこの程度の広さがあるのか?

 そしてついに、トキは窓際まで追い詰められた。


 「ドクロをよこせ。そして死ね」

 ほんと正直なクズだな…


 「…そんなキミに贈り物だ」

 トキが窓際のロッカーを開けた。その中にあるのは…何だ?見えるのは、何か金属の丸い棒と、それをグルグルに巻く何色かのコード。よく見ると、箱自体に固定されているんだな…あと、何かデジタルの数字カウンターらしきものが見える…

 そのカウンターの数字が動き始めた。


 「爆弾だよ」

 …え?

 「爆弾んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん‼」


 「これでキミ達は追って来れな…」

 トキは言い終える事ができなかった。リョウマがかざした右手から炎が吹き、焼き尽くさんと迫っていたからだ。咄嗟に左の窓まで飛び退いたが、代わりに燃やされ爆発した戸棚のガラス片が、トキの頬を僅かに斬り割き血を垂らす。


 「…そんな事していいのかい?爆弾だよ?」

 「ニンジャマスターの俺に、安全な場所を探すなど造作もない」

 俺にはできそうもないんですけどぉ⁉


 「…キミはね。でも、他の人…一般人を非難させたり、しなくていいのかい?」

 「かまわん」

 かまおうよ‼


 「キョウ、爆弾を解体しろ」

 「はっ!お任せください‼」

 最悪じゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ‼


 考えられる限り最悪の状況だったが、それはドクロの男も同じ事だ。後ろは窓…から下の地面まで数十mはあるだろうか。前には武装した警官達が武器を噛めて並び、その先頭にいるのは真っ白いロクデナシ…まさに絶体絶命。

 しかし、トキの表情は憎たらしいほど余裕だった。


 「降参してください。逃げ道はありませんよ?」

 「逃げ道なら、あるじゃないか」

 え?


 トキはこちらを向いたまま、左手を横に流して後ろの窓を開ける。瞬間、冷たい風が雨と共に室内へと吹き込んできた。俺達の誰もが反射的にそれを防ごうと腕を掲げ目を細めた、その一瞬の隙にトキはこちらを向いたまま窓枠に座っていた。


 そして、そのまま窓の外へ落ちて行った。


 「ちょっと待てぇぇぇぇええええええええええええええええええええい‼」

 叫び駆け寄った俺が窓枠にしがみつくのと同時に、下から大きな振動音が発せられた。その嫌な音に片目をつぶりつつ、慌てて俺が下を覗きこむと、すぐ下の駐車場に停めてあった一台の車…それがグシャグシャに潰れていた。

 そして、そのすぐ横に倒れる人影が…


 「あ…立ち上がった」

 その人影は、何事もなく立ち上がり、そして、立ち去った。


 「逃げられたな」

 〝偶然〟って凄ぇな!おい‼


 おそらく、あの方角は奴にとって大吉の方角、そして、背中には大吉の命理があったのだろう。〝偶然、下に停まっていた車の上に落下して〟結果〝運よく打ち所がよく、ビルの30階から落ちてもかすり傷一つ追わなかった〟…と。

 だから〝偶然〟って凄ぇな!おい‼


 「…じゃねぇ‼爆弾爆弾‼」

 慌てて振り返ると、数字は789…8、ええと、60秒が1分だから、最初が6で、次が…あーーーーーーーーーーーー‼計算してる場合じゃねぇぇええええ‼出口は⁉出口はどこだ⁉周り制服ばっかで向こうが見えねーーーーーーーーー‼


 ただ、狼狽しているのは俺だけだった。

 「すでに周辺含めた一般人、および捕縛した関係者の待避の手配は完了しております。また関係機関への連絡も終了、周辺には消防他が集まりつつあります」

 …いつもながら、アンさんは手際が良すぎる。


 「それでは、キョウを除く全員は今すぐビルから撤収させます」

 恭しく頭を垂れて、アンさんが報告をした。しかし、答えは返ってこない。リョウマにはアンさんの言葉も存在も仕事も、どうでもいい事のようだった。それとは全くの真逆の、リョウマにしては感情のある声でキョウに声をかける。


 「キョウ、あとは任せる」

 「はい!リョウマ様‼」

 体中を真っ赤に紅潮させて敬礼するキョウを、どんな気持ちで見ているのか、その完璧すぎる営業スマイルからは全く分からなかった。


 アンさんの指示で整然と…しかし、その表情は迫りくる爆発の恐怖を隠し切れずに、次々と制服達がこの部屋から出ていく。勿論、一般人はその前に卸されて一人もいない。俺も慌ててその列の最後尾に並ぼうと駆けだした。


 …いや、このままキョウを一人で残すと…


 ぶちっ

 「あ、違うコード切っちゃいました」

 「………」


 がたっ

 「あ、なんか中の棒が倒れちゃいました」

 「………」


 ぽとっ

 「あれ?何でこの部品が外れるんですか?」

 「………」


 ボケで死人が出るぞ、おい‼ 


 「お、お前、爆弾処理なんてできるのか⁉」

 「失礼な!私は爆弾処理の免許を持っています‼」

 …お前、よくその過程で死ななかったな…


 見ていると、確かにキョウは機械の様な正確さで爆弾処理を進めている。こういう処理に一番必要なのは恐怖に負けない精神力。こいつの〝自分は絶対に成功する〟という思い込みは半端ねぇからな…どこから出てくんのかは知らんけど。


 暫くして、キョウの手が止まった。

 「…あとは、赤い線か青い線か、どちらかを切れば解体できます」

 お約束だな…


 「赤です!」

 「青だ‼」


 ぶちっ


 俺が青い線を切ると………何も起こらなかった。ふぃ~爆弾処理成功!

 「な、なななな、何で青い線を切ったんですか⁉赤って言いましたよねぇ‼」

 100%の自信があって切りましたが、何か⁉

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