第9話 頂上対決
いつの間にか、そこにいた。
何の違和感もなく、会話に混ざってきたその女性は…数秒前にはいなかった。この、余りにも不自然に人が皆無の『真昼の駅前』なのだから、見間違う事はない。それに、俺だけではなく、リョウマもその存在に気づいていなかった。
「このまま気づかないフリをして、貴様を殺すという選択はないだろうか」
いや!気づいてないフリだった‼
「それって〝ウソ〟にならないの⁉」
リョウマはウソつくと死ぬ男だからな。尻もちをついた俺の喉元に刀を突きつけたまま、この怜悧な男にしては珍しくその美しい横顔を傾けて思案していた。
「『気づいているか?』と聞かれて『いない』と答えればウソになるだろうな」
「気づいているよねぇぇぇえええええええええええええええ⁉」
力いっぱい聞いてやるよ‼
「…チッ」
「舌打ちすんなーーーーーーーーーーーーー‼」
「貴様を殺してから、あの女の話を聞くのはどうだろう」
「さすがリョウマ様。素晴らしいお考えです」
アンさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん⁉
「〝十咫の剣〟を持つ者が、次の長になるんだけどな~」
しかし、それは『あの女』の側が許さなかった。無視され続ける状況にしびれを切らしたのだろうな。無理やり話に入ってこられてはリョウマも無視はできない。
スケさん、…だっけ?可愛い娘だった。…ニンジャ屋敷と違って。身なりは変わっていない。茶髪のおさげ髪と黒コート。猫背気味に前を隠しているけど、どうやらコートの中も学校の制服みたいなミニスカートで変わらない。
変わったのは、珍しく少女らしい笑顔だ。
「どういう意味だ」
「頭こすりつけて土下座したら、教えてやるぞっ」
「隠さずに全てを話せば、殺さずにおいてやるぞ」
ああ、クズが二人‼
「え~?言うこと聞かないと、即暴力ですかぁ?野蛮~」
「ああ。貴様を処理しないと、この男を殺せないからな」
ひどすぎる‼
共にクズであるが故にか、二人の行動は同時で、そして同様だった。共に瞳の星石眼に殺意を光らせて、手には殺害の為の刃を握り締める。黄金の瞳のニンジャマスターと、黒い瞳のサムライマスター。…俺は、どっちを応援すればいいんだ?
「…サムライマスターが勝てば、俺は殺されないよな?」
「やはり、俺の前で〝八門を悪用する者〟を応援するのか」
「いやいやいやいや!ニンジャマスターを応援しますよ!勿論‼」
「俺が勝てば、その後で貴様を殺すがな」
どっちにしても死ぬじゃねーか‼
「相打ちしろ‼」
「…アタシが勝っても、あんた殺すことにするわ~」
しまった!俺の正直者‼
呆れたようにつぶやいたスケさんが、左手に持っていた脇差を宙に放り投げた…と思ったその手には別の脇差が握られていて、それも宙に放り投げた…と思ったその手には別の脇差が握られていて、それも宙に放り投げた…おいおいおい、
「サーカスかよ‼」
まるでナイフジャグリングだった。宙を舞う5色8つのナイフ…脇差か、スケさんは結構な速度でリョウマとの距離を詰めてきているのだけど、それがちゃんとついて来ている。勿論、手元も、脇差自体も、全く見ていない。
…もーこんなんジャグリングじゃねぇよ‼
「南東に死門~、北東に驚門~、西に傷門~」
その、左目の輝きと同じ、漆黒の刀をスケさんが空中で掴んだ。咄嗟にリョウマは刀を持っていない左手で同時に3方へとクナイを5つ放り、刀を構える。
…多分、スケさんの漆黒の脇差による〝運命操作〟のぶった切りをさせない為、星石を上に仕込んだクナイを投げて運命を書き換えた、んだと思う。
すると、スケさんはくるりと右に半回転して、…戻ってきた時には紅の脇差を右に、白の脇差を左に構えていた。さらに後ろに飛んでクナイを放っとうとしたリョウマの眼前に、すでに黒の脇差を振り下ろすスケさんがいた。
「はい、〝死門〟どーん」
受けた、リョウマの刀が折れ飛んだ。
「ごっめ~ん、アタシに八門五行の護りは意味を成さないから~」
リョウマが周囲にクナイを投げるのは、サムライの〝構え〟と同じ簡易星石鎖だろう。スケさんのナイフジャグリングもそうなのだろうけど…速さが圧倒的に違いすぎる。移動する、陣を描く、刀を振るう、…全てを高速並列で行っていた。
折れた刀を一瞥もせずに捨てたリョウマの顔には、表情を見つける事は出来ない。…一方、スケさんの顔には…歪み切った笑みが浮かび上がっていた。
「千手観音~…斬舞‼」
まさに舞う様なナイフジャグリングの高速並列がどんどんその回転速度を増していく。リョウマは防戦…というか、回避一方だった。
「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ‼」
高笑いに続く破壊音。リョウマが身をかわす先で、スケさんの脇差は、電話ボックスを裂き、ポストを分割し、電柱を両断する。…〝サムライマスター〟の問答無様ブッた斬りは健在だ。実際、リョウマは何度か受けたクナイを両断されている。
「………」
…両断って。
それが何故かと言えば〝偶然〟です。「ちょうど良い所に当たった」とか「ちょうど悪い所に当たった」とかで、両断してます。…いや、マジで。
…まぁ、それだけなら、けっこーみんなできるこの世界なんだけどね。
彼女の恐ろしさは、空に脇差を描く事で星石陣を描き、さらにそれを状況状況において書き換えていくことだ。だから、リョウマの星石の護りがいっさい役に立たなかった。どんなに〝運命〟を変えても、それは上から上から書き換えられる。
それに、これだけ状況が目まぐるしく変わっては、ケイやシルバといった部下達を〝星石〟として使ってブーストすることも出来そうにない。
彼女の足の踏み込みは瞬間移動だし、その腕の振りはギロチンだから。
「火遁〝コノハナサクヤ〟」
大きく後ろに飛び退きつつ、リョウマが火炎を吐き出した。それは桜吹雪の様に拡散…するより早く、抜き放ったスケさんの長刀へと吸い込まれていった。
「不動明王斬り~ぃ」
長刀の一振りで、炎は逆にリョウマの全身を包み込んだ。
「リョウマ様ぁぁぁあああああああああああああ‼」
…いや、上に羽織っていた狩衣を脱ぎ掲げると、それに全て炎が移る。リョウマが手を離すと、それは風に流されて後ろに落ち、…ケイの右足に燃え移った。さっきリョウマの為に叫んだ彼女は、今度は自分の為に叫ばなくてはならなかった。
その隣で、アンさんの顔は蒼白だった。彼女にとっては信仰に近い絶対者のリョウマが、為す術もなく攻め立てられていたから。客観的にしか見れない彼女だから分かってしまう。リョウマが、手も足も出ない事が。
「天才でゴメンねぇぇぇぇええええええええええええ‼」
スケさんってか、ゲスさんですよ顔が‼
一方、リョウマは…純白の忍者服が、煤で黒く汚れていた。いつもは、いままでは、一滴の汚れすら見つける事が出来なかったそれだけど、今日は所々が焼け焦げ、汚れ、ちぎれている。その煤はヤツの白皙の顔まで汚していた。
「バカか?貴様は」
…とはいえ、この、美しすぎる、相手を見下しきった表情は、変わらないけど。
「はぁ?なんだってぇ?」
「訂正しよう」
「え?」
「ガキか。貴様は」
スケさんは一瞬でブチ切れた。
躊躇いもなく投げられた脇差は、リョウマの頬の1㎜隣を切り裂いて消える。さらに脇差を無造作に横一線。これも薄皮一枚でかわしてのけるニンジャを見るのは、底のない泉の様な…悪寒しか感じない、サムライの黒い瞳。
リョウマは気に止めた様子もなく、服の煤を払う。
「貴様には〝大人〟の戦い方を見せてやろう」
「大人ぁ?…何よ、それ?18禁とかぁ?」
…18禁?
「その大星石は使わないぞ。大人げない」
「だよね‼」
リョウマがこの〝あおぐろいぼう〟で18禁アダルティに戦う筈がなかった。
「オ・ト・ナ、の戦い方、ねぇ」
スケさんは、クスリと笑う。
「やってみろよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお‼」
絶叫したスケさんの上には八つの脇差が宙を舞う。一方、リョウマは二歩下がって足元に星石鎖を配置する。そんなものはお構いなしとジャグリングを始めた。
かちん
その中の一つに〝偶然〟小石が当たった。
「…これが、何?」
スケさんの眼光が、犯人を貫いた。これは、あからさまにリョウマが〝運命〟を操った結果なのだけど…特に被害は、ない。ちょっと向きが変わったか。
ぬるっ
踏み込もうとした矢先、その腕にゼリー状の何かが降ってきた。
「…これが、何なの?」
これもまた、あからさまにリョウマが〝運命〟を操った結果なのだけど、…やっぱり、特に被害はないのだった。別に毒などではなく、…ただ生理的にイヤだ。
ぺたっ
漆黒のコートに、ピンクのペンキがどこからか飛んできた。
「…だから、これが、何なんだよ⁉」
だから、特になんでもなかった。
それからもリョウマは十分に距離を取りながら、クナイを投げて、…鉄の壁にイヤな音をさせ、星石鎖をしいて、…小石や砂埃を舞わせ、火を噴き出して、…ケイの傍でボヤをおこして聞き苦しい悲鳴を上げさせる。
無論、それら全てはスケさんに何らのダメージも与えていなかった。
「………」
…つまり、セコいイヤガラセの攻撃をした。
「キィィィィィイイイ‼鬱陶しいぃぃぃぃぃいいいいいいいいいい‼」
なんかもー怒り狂っているように見えるのだけど、ナイフジャグリングの速さにも正確さにも一分の隙もなく、だからこそ脇差が地面に落ちたりもしなかった。もはや体が勝手に動く程なのだろうな…伊達に〝天才〟を名乗ってない。
「こんなことで、アタシの手元が狂うとでも思ったのかなぁ⁉」
そこに、リョウマが顔一つ踏み込んだ。
リョウマは〝絶対に勝てる戦いしかしない〟男だ。あからさまに隙だらけにしか見えないのだけど〝運命〟を操作しているので、そこへの攻撃は無益なのだろう。勿論、スケさんもそれを分かっている。体はそこを攻撃しようとはしなかった。
「え…」
ただ、頭は一瞬、躊躇してしまった。
「地殺星」
その一瞬の隙に、リョウマの右足が楔を打ち込む。
右腿を深々と踵で踏み蹴られて、スケさんの顔が苦痛に歪み、…その歪みは三秒後には数倍になっていた。宙を舞っていた脇差がそのタイミングのずれで降り注ぎ、その殆どはコート防刃で止まったのだけど、一本だけが彼女の足に刺さったのだ。
これが必殺の…〝命理〟の威力だった。
「分かったか」
リョウマがスケさんの刀を拾い、それを持ち主へと突きつける。
「これが〝大人〟の戦い方だ」
ただの〝クズ〟の戦い方だよねぇ⁉
スケさんも同感だったに違いない。刃物の刺さった足を抑えて蹲り、見上げた苦悶の表情がそう言っていたから。ただ、痛みのせいか言葉は出てこなかった。後ろで束ねた髪の一つがほどけ、茶色の髪が涙のたまった目へとかかっていた。
「では、答えろ」
勿論、リョウマは気にも留めないけど。
「あの刀を手に入れた者が次の長とは、どういう事だ?」
「次の長は、ハンニャか」
ぱんっ
「すみません。手が滑りました」
アンさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん⁉
「し」
絞り出すように、彼女は言葉を吐き出した。
「知らねぇよ‼」
「じゃあ、死ね」
リョウマは嘘をつかない。だから、この言葉にも一片の誇張も、虚偽も、装飾もなかった。作業のように無造作に刀は振り上げられ、振り下ろされた。
ただ、その刃先が彼女に触れる事はなかった。
「大丈夫か?スケさん!」
「…ヤシチぃ」
眼帯の刃が届いていたから。
滑り込ませた長刀に力を込めて押し返す。黒コートが翻り、半回転させて体ごとスケさんの前に割り込んだ。力を込められた側は、無理に押し止める気など皆無で、押されるがままに後ろに飛び、さらに一つ、二つ、と後ずさる。
「3人か」
俺を含まないでぇ‼
リョウマの視線が目の前のサムライ二人から、自分の背後へと向かう。そこでは未だカクが蹲って悶えている。…実は重症なのだ。糸自体はすぐに取れるからね。
「事後処理は任せる」
「かしこまりました。リョウマ様」
恭しく頭を垂れたアンさんは、リョウマの姿が完全に見えなくなると、すぐにどこかに連絡を始める。その動きは、すぐに周囲の警察官の動きとなって表れた。横であたふたしていたケイも、指示を貰って敬礼する。
「は、ははははは、離せよーーーーーー‼」
悲鳴に振り向くと、そこでは眼帯がスケさんをお姫様だっこしていた。
「止血はしたようだが、急いで病院にいかないとダメだろ」
「自分で行けるってんだよ‼」
もうメチャクチャに暴れてスケさんは眼帯の腕の中から飛び出した。
…そして、ケガした足で着地して、蹲る。…そもそも、膝を抱えてずっと立ち上がらなかったから、眼帯は抱き上げたのだから。暫く様子を見るも、心配げに駆け寄ろうとする眼帯…を、スケさんは片手を振って制した。
「助けなんて必要なかった‼」
その顔は、もう涙とか鼻水とかでクシャクシャだった。
「アタシは…アタシの方が、あいつより強かった‼あいつは、あいつの、ズルっこさえなければ、アタシは勝ってたんだ‼あんたの助けなんて…」
「だが、現実に生殺与奪を握っていたのは、彼だった」
カッとして、スケさんは手元の石を投げつけた。反射的にそれを弾いた眼帯は、2秒くらいスケさんを見た後、それ以上は何も言わずにカクの方へと振り返る。
その、横顔に刃物が投げつけられた。
「…ぁにしてんだよ、行くよ!」
何事もなくそれを回避した眼帯の視線の先では、ひょこひょこと片足を軸にスケさんが先へと進む。一つ息を吐き出した眼帯は…あれ?こっち来んぞ?
「すまないが、カクの事をお願いできないだろうか」
「…俺?ああ、別にいいけど。救急車でいいんだよね?」
「…なにトロトロしてんのよ!さっさと来な、ヤチシぃ」
まさにサラリーマンの様にビシッと頭を下げてから、眼帯はスケさんの3歩後ろをゆっくりと着いていく。…ここで救急車を待った方が良いと思うのだけど、彼女の気が済むように、気が済む所まで、ああして後ろをついていくのだろう。
「…あの二人って、付き合ってるんすか?」
ケイが核心を口にした。
問われたカクは視線を流して、横の俺とぶつかる。逃げ場を無くして口を曲げた時、ちょうど救急隊員にきつく傷口を縛られて悲鳴を上げた。救急車に乗せる前に応急処置と診断が必要という事で、まだアスファルトに腰を下ろしたままだ。
あの二人の関係は、ずっと気になっていた。なんつーか『愛憎入り混じる』感じ?ただ、ケイのようにそれを単純に〝恋〟と呼ぶのは、…なんか違う。
「…俺が言ったって、言うなよ?」
って言いつつ、話たがってるよな、この顔。
あの性格と能力だから浮きまくっていたスケさんの面倒を、眼帯は何かとみてやっていたらしい。そして、スケさんが眼帯に片思いしていたっぽく、告白したけど、それをどうやら眼帯がフッったようで、それからは露骨に眼帯を責めだした。
「なんで、彼女をフッたんすか?」
「性格アレだからじゃね?…ま、実は俺も一回コクって、…蹴られたけどさ」
「あなたは彼女のどこが好きだったの?」
「顔!」
曇りなき眼で断言したぞ。
「…いや、まぁ、俺を蹴った時は、…ドブを見るよーな顔してたなぁ」
うん。…ケイが今、まったく同じ顔してる。
「ま、すぐ次の子に行ったよ。ギンの字はヤキモチ焼きだしな」
「ギンの字さんも、スケさんのコト好きだったんすか?」
「あ?…まぁ、俺ら3人は幼馴染だからなぁ…ガキの頃から色々と、ね」
いつも元気なスポーツイケメンが、感慨深く頷いている。
『幼馴染』というか『サムライマスター名家のご子息様達』だろうな。まぁ、でなければこの若さでこの極みにいないし、八門五行を用いた〝サムライマスター〟の技は、そこらの剣術道場で教われるとも思えない。一子相伝だよね。
「なんでフッたのに、ヤシチさんあんな暴言や暴力を受け入れてるんすか?」
「そう!だから、実は付き合ってる説とか、弱み握ってる説とか、孕ませ…」
「………」
「どうした?」
何でスクールラブコメやってんだよ、お前ら。
…もう、こいつを放置して帰ってもいいんじゃなかろうか…俺がそう決断するより早く、救急隊員からお叱りを受けた。…なんか、この隊員さんに同志の匂いを感じる…肩をすくめて運ばれようとするカクは、一つ思い出したように指を立てた。
「ただ、ヤシチって既婚者じゃなかったっけ?」
「マジで?」
「いや、違うか、別れたとか…離婚?指輪してるのを見た奴がいるんだよ」
閉まった救急車の扉の窓から、カクは両手を振って…あ、痛そう。救急車が見えなくなるまで俺も手を振っていた。すっかり仲良くなってしまった…な。
「………」
恐る恐る、俺は後ろを振り返った。
「私がストーカーみたい、と思いましたか?」
「ぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜんぜん‼」
手の平と首を左右に高速移動させて否定する俺とケイに、アンさんは菩薩の様な微笑みを向けている。アンさんはその表情のまま僅かに会釈して立ち去った。ケイは10回くらい俺に助けを求めて振り返った後、それに続く。
気づいたら…もう、ただの日常だ。ラーメン屋からはいい匂いが漏れ出し、駅から出たサラリーマン風の男がそこに入っていく。
「…俺、やっぱまだリョウマに狙われてるんだろうか」
俺を殺せる理由ができたって、…すっげぇイイ顔してたからな…でも〝あおぐろいぼう〟がある限り、俺の居場所は筒抜けだぞ?いっそ、捨てちまうか?
「………」
いや、この大星石捨てたら、間違いなくリョウマに殺されるな…
あの星石レーダーがどんな理屈なのか…俺には想像もつかない。何を探知してるんだろう?何か磁場?的なもんだっけ?あれ?この話、俺、誰に聞いたんだ?
「ホワーーーーーーーーーーーーーット⁉」
あ、シルバが我に戻った。
「ドユーこと⁉」
喜び勇んで「ハンニャがいた」という最上級情報を持ち込んだ…と思っていた彼女を出迎えたのは、そこらの石ころにでも向ける「それがどうした」だからな。…そこで固まって、いきなり始まったのはサムライとニンジャの最強頂上対決。
「そっちこそ、ハンニャが出たって、…詳細は?」
「通りのわき道にハンニャを見まシタ‼」
どうやら、ハンニャの面を見た事自体は間違いないらしい。それをギンの字が追いかけて、シルバには俺達への連絡を頼んだと。…不自然では、ないな。
「あのさ、この…ケースなんだけどさ、星石レーダーを防げたり出来ない?」
…そう、話を聞いたのは彼女だった。自分の大好物分野の話を投げられると、銀髪をガっとかきあげ眼鏡をクイっと上げて鼻息荒く、聞いてもいない事を色々長々と話してくれた、の、だけ、ど…あれ?段々と、元気がなくなっていった。
「ん…ソーリー、ワタシ、あのレーダー見たのが始めてなので…」
結局、作れんのかいな。
「専門家の助けデモあれば、なんトカ」
「専門家、ね」
…一人、心当たりがあるな。
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