第17話限界

気を引き締めるといっても、それでもまだ2階層くらいでは、初級ダンジョンと同じくらいの力のモンスターしか出てこないので、調査団はどんどんと進んでいった。


「しかし、やけに普通だな。」


「ふつうこのレベルのダンジョンですと、ダンジョンマスターがいるので、その者が私たちの妨害をしてくると思ったのですが…」


ダンジョンにも、自然発生型と、魔王がいるタイプがある。


自然発生型に関しては、仕組みはわかっていないのだが、モンスターが自動で沸くようになっており、一生、モンスターがなくならない。


しかし、ダンジョンマスターがいないということは、指揮する者がいないので、ダンジョン全体の強さに関しては、そこまで強くない。


その代わりに、自然発生型に関しては、数が多いので、こちらは、どこに行っても、近くにあるような形になる。


そして、魔王がいる系。


実際は、この世界の者たちには、魔王ではなく、普通にダンジョンマスターと呼ばれるのだが、ダンジョンマスターがいるダンジョンに関しては、さっきとは逆のことが多く、数は少なく、モンスターは自動で沸いてくるわけではない。


それに、こちらに関しては、ただでさえ数が少ないのに、ダンジョンの運営をまともにできなく、ダンジョンに魔力を吸われすぎて死んでしまうというケースもある。


そして、ダンジョンマスターがいるダンジョンに関しては、とても人気が高い。


なぜかというと、中からとれるものが、普通のダンジョンとは大違いだからだ。


言ってしまえば、普通のダンジョンに関しては、鉱山で取れるレベルの鉱石など、この世界の自然から、抜けないような物しか取れない。


しかし、ダンジョンマスターがいるダンジョンに関しては、この世に存在していない鉱石や、今ママで開発されないような、魔道具なんかが発見されている。


つまり、新しい物、そして、強いものを求めたら、ダンジョンマスターがいるダンジョンのほうに行かなくてはいけないのだ。


そして、視点はすでに10階層までやってきている調査団のほうへ…


「さすがに、この辺からは、敵が一撃では死ななくなっているな。」


「そうですね…数が少ないので、そこまで苦戦はしませんが、我々の力では、もう少し進んだくらいで限界ですね。」


「そうだな。」


そういいながら、10階層に進むと、調査団は、悪寒を感じた。


(な、なんだ今のは…)


10階層は、9階層までとは、つくりが一緒で、普通にちょっとした迷路になっている。


(みんなも同じ悪寒を感じたのだろう。

しかし、それでも、せめてこの階層のモンスターに一回は会わなくては。)


そう、心を奮い立たせながら、ダンジョンを進んでいくと、モンスターに出会った。


一瞬、調査団は警戒したが、そのモンスターは普通に大声を出しながら、向かってきて、素早かったので、なかなか倒せなかったが、それでも誰もやられることなく、モンスターを倒すことができた。


「なんだったんだ今のは…」


そんなことを言っていると、通路の片側から、同じモンスターが大量にやってきていた。


「あの声は仲間を呼んでいたのか!」


すると、また悪寒が走り、その後、威圧感を感じた。


しかし、それは、目の前からやってきているモンスター集団ではなく、後ろから感じることができたのだった。

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