第16話ランク付け

調査集団視点~


「これは…やはりダンジョンか?」


「そうですね。しかし、これは…」


「ああ、あまりいい状態じゃないな。」


人間国側には、ダンジョンの発生を知らせる魔法道具がある。


それによって、新しくできたダンジョンを彼らのような者たちが、調査するのだが、問題がある。


それは、ダンジョンが最初から見つからない場合だ。


この魔法具は、本来、ダンジョンができた瞬間に発生を知らせるものなのだが、たまに、発生が反応されずに、ある程度成長してから反応するダンジョンがある。


「これは、そっちだな。」


実際には、最初から強化されていたといったほうがいいのだが、それでも成長しているダンジョンが今まで反応していなかったと考えるべきだから、これに関しては、反応していないのは当たり前だった。


「まぁ、成長しているダンジョンにもレベルがある。

第一目標については忘れていないな。」


「はい。第一目標は、このダンジョンのランクの調査、およびその情報をギルド本部のほうに伝えること。」


「つまり、我々は死んでしまっては意味がない。

我々は冒険者ではなく、調査団なのだ。皆の者も、命のほうを最優先して、戦ってくれ。」


その確認をした後に、調査団は、ダンジョン内に入っていった。


「まぁ、ここは普通のダンジョンだな。」


一階層には、普通にゴブリンやスライムがいた。


この辺のモンスターに関しては、まだ知性を持っておらず、しゃべることはできないが、ダンジョンマスターの命令だけは、なぜか聞くことができるので、侵入者たちを排除するために、行動した。


しかし、ダンジョンのレベルを測るような調査団は、もちろん強く、スライムやゴブリンは一瞬で消されて行ってしまった。


「普通だったら、この辺で終わってくれるんだけどな…」


大体のダンジョンは、発生直後に壊されてしまうので、階層が少なく、モンスターも少ない。


つまり、一階層をクリアした時点で、すぐにクリアできるのだ。


「このダンジョンは、一階層に確かに弱いモンスターしかいませんが、それでも一階層の整備が行き届いています。

これで初級ダンジョンというのは、無理でしょう。」


初級ダンジョンというのは、F~Sまであるダンジョンの中で、F~Dまでのことを言う。


そのダンジョンに関しては、冒険者になりたての者たちが挑み、収入は少ないが、頑張れば一日分を稼げるということで、最初のほうはお世話になるダンジョンだ。


「そうだな。このダンジョン…まぁ、暫定的な評価では、上級ダンジョンになってしまうな。」


上級ダンジョンは、A~Sランクのダンジョンのことで、これに関しては、真の強者たちが、たまにこのダンジョン出稼ぎに来るというものだ。


しかし、実際には、ダンジョンから出る技術が発達しているので、中級や初級の冒険者も、浅いほうのダンジョンで活動をして、たまに発生している、下層の方でしか手に入らないような鉱石を拾ったりして、一獲千金を願うものも多い。


というより、初級冒険者に関しては、一獲千金を狙って、上級ダンジョンに行くことが多いといっても過言ではない。


「となると、さらに警戒が必要だな。」


こうして調査団は、さらに警戒を強めて、ダンジョンの2階層に行くのだった。

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