第15話街
そこから、ゼアークは、自分の部屋で、ダンジョンマスターに備わった機能である、ダンジョン内を自由に見ることができる機能を使って、ダンジョンの最前線を見ていた。
(今回は、最初に人間をすべて倒してはいけないことを言っているし、それに、できるだけ返すように言ってあるからな…)
ダンジョン内での死亡事故というのはあるため、本来は、ダンジョンは人間を殺してしまってもよいことになっている。
しかし、今回は、ダンジョンが発見されているといっても、人間にとっては、初めて見つけたダンジョンなので、そのダンジョンでいきなり人が死んでしまっては、そのダンジョンに対する警戒心が高まってしまう。
すると、来てくれる人間の数が減ってしまうのだ。
(それに、今回は普段よりも、宝箱の数も増やしてある。)
これも、このダンジョンは魅力的だと思わせる作戦の一つで、このダンジョンに来るメリットをできるだけ増やしておきたいのだ。
そんなことを考えていると、とうとう人間が、ダンジョンの上の町までやってきた。
「すいません。この付近でダンジョンが発生したという情報を聞いたのですが…」
「ええ、ありますよ。」
「どこにあるか教えていただけないでしょうか?」
「えーと。この街のはずれに入り口がありますね。」
「町のはずれですか…それにしても、この街は、なぜこんなにもダンジョンに近いのですか?」
「もともと、我々は、定住地を決めない種族だったのですが、今となっては、このダンジョンから生成される報酬と、農作物を使ってこの街を作りました。
たまにこの周辺に場所にやってくる人がいるのですが、その者たちはこの街で食事をとった後に、この街に残ってくれることが多いです。」
「そうか…この街がダンジョンによって作られたか。」
この街に関しては、普通に裕福な街レベルになっている。
しかし、さっきここの者は、ダンジョンから生まれたものと、農作物によってやり過ごしているといったから、このダンジョンには、町を1つ作るくらいの報酬があることが分かった。
「とりあえず、我々は今回、このダンジョンの調査に来たので、できればダンジョンのほうに案内してもらってもよろしいですか?」
「はい。いいですよ。」
これに関しては、ダンジョン側から、案内するように命令が来ていたので、町の住民はすぐにダンジョンのほうに案内をした。
「このダンジョンは、結構深くできています。
我々の種族はもともとは戦闘民族だったので、それなりに強いのですが、それでも、このダンジョンに関しては、どこまでダンジョンが進んでいるかわからない状態です。
ですので、くれぐれもダンジョンクリアは目指さず、自分たちの限界がきたと思ったら、すぐにこれで帰ってきてください。」
そう言って、町の住民は、ある石を渡した。
「これは?」
「これは強制帰還石です。使えば帰ってこれますが、これに関しては、数が少ないので、初めて挑戦するものにのみ渡しているのですよ。」
「何から何までありがとうございます。それでは行ってきます。」
これが、ダンジョン側の考えとも知らずに、町の住民に送られて、調査集団はダンジョン内に入っていくのだった。
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