第13話第2ダンジョン

「おや?いい場所を発見したようですよ。」


あの後、吸血鬼と一緒に待っていると、そのようなことを言ってきた。


「それでは、ゼアーク様、今転移しても問題ないでしょうか?」


「ああ、かまわん。」


「それでは行きます。」


そして、吸血鬼が魔法を使うと、次の瞬間には、目の前の風景が変わっていた。


「さすがだな。」


ゼアークは、つい口からこぼれてしまった。


「おほめにあずかり、光栄でございます。」


あまり、弱気な姿勢は見せないようにしているのだが、この吸血鬼に関しては、主人の弱気というものを、気にしないタイプらしい。


しかし、それは、人間に興味がないからというわけではなく、真剣に、ゼアークが何かに悩んでいたら、それは、手伝っていただろう。


(まぁ、最初からそのくらいの距離感のほうがやりやすいしな。)


「それで、この立地に関しては、どのようなメリットがあるんだ?」


「はい。まずここは、人間の国の中でも、栄えているほうの町に近いです。

もちろん、その分だけ冒険者という制度にのっとった、強気者も多いのですが、正直に言ってしまえば、私だけでも、1つの国の冒険者ギルドのメンバー全員を相手取っても、簡単に勝てるレベルなので、私が負けることはないでしょう。」


正直、この世界には、Sランクを超えるような人はなかなかいない。


それこそ、一国に2人くらいしかいない。


だから、SSSランクなんて言うものは、ダンジョン内にしかないといわれ、しかも、一個でもSSSランクを持っていると、史上最強の悪魔、魔王と言われるようになる。


ゲームをやっている状態では、すべてのダンジョン管理者が、魔王なのでは?と思っていたのだが、この世界では、SSSランクのステータスを持っているダンジョン管理者のことを言うらしい。


「それじゃあ、ここに作るか。」


そして、ゼアークは、ダンジョン生成の能力を発動して、小さなダンジョンを作った。


「それじゃあ、私の魔力も少しだけおいていこう。」


そういうと、ゼアークは、そのダンジョンに、自身の魔力を与えた。


これによって、このダンジョンのレベルが上がり、拡張が可能になった。


「それじゃあ、このダンジョンの管理権に関しては、君に移したから、これから頑張ってくれ。」


「はい。ゼアーク様は、これから先、多くのダンジョンを作ることになるでしょう。」


いきなり、吸血鬼が、そのようなことを言い始めた。


「私は、その中でも、最初にダンジョンを任されたものとして、ゼアーク様の顔に泥を塗るようなことをしないことを誓いましょう。」


「頑張ってくれ。」


正直、何を言っているのかはわからなかったが、それでも、このダンジョンをしっかりと管理していくつもりだけなのは、伝わったので、ゼアークはいったん、自分のダンジョンに帰るのだった。

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