プロローグ2

アリアの専属メイドであるメイに剣で刺されて血を流して倒れたアリア。そんな光景を見て周りは騒然としていた。アリアに死刑宣告をしたガラン王太子に、マリアナを守る王太子の側近達も若干引いていた。

だが、一番皆が疑問に感じたのは、何故メイがアリアを刺したのかであった。アリアは多くの人々から何故か嫌われていて、従者で長いこと彼女に仕え続けていたのはメイだけであった。故に、メイの行いに疑問を感じる者ばかりだったが、メイはガラン王太子達に一礼した。


「夜会の場を血で汚し大変申し訳ありませんでした。ガラン王太子様」


メイはそう言って頭を下げた事で、ようやくはっさと我にかえるガラン王太子。


「い……いや……気にするな。其方がやらねば私が騎士に命じてやっただろうからな」


実際、ガラン王太子は向かってくるアリアを殺してもいいから止めろと命令するつもりだったのだ。しかし、それよりも先にメイが行動に移したのである。


「しかし……其方は……何故アリア嬢を……?」


皆が疑問に感じている事を代表としてガラン王太子はメイに聞いた。


「はい。確かに私はアリア様を敬愛し慕っておりました。しかしながら、あのように嫉妬に狂った醜いお嬢様は、私の敬愛するお嬢様ではありません。お嬢様にはいつでも私が敬愛する誇り高い方のままでいて欲しいと願っての事です」


メイのこの発言に一部従者からは感嘆の声が上がる。それだけ主人を想い行動に移す事はなかなか出来ないものだと。


「ですが、いくら死刑が決まっている人とはいえ、私が皆様が楽しく過ごされる時間を汚したの事実。故に、私はソレを片付けた後、グランローズ家のメイドを辞め、この国を去らせていただきます」


メイは再び一礼した後、倒れたアリアを抱え立ち去ろうとする。が、その前にメイはグランローズ公爵夫妻の前で立ち止まる。


「お嬢様は私が処理しても構わないですよね?」


「構わん。最早ソレは私の娘ではない」


自分の娘の死体を目の前で見せつけられても、動揺することなく冷たい眼差しでそう言い放つグランローズ公爵当主。メイはその言葉を確認した後、グランローズ公爵夫妻に一礼し、今度こそ夜会の会場を立ち去った。




そして……メイは人気のない森まで来ると、誰もいない事を確認し


「お嬢様。もう大丈夫ですよ」


メイはアリアにそう声をかけ…………何故かアリアの尻に頬ずりして撫でた。

すると、メイは何者かに投げ飛ばされるような形で顔面から地面に激突し、メイの顔は完全に地面に突き刺さるような形になった。


「全く……あんたの演技ヤバすぎでしょ……」


そう言ってゆっくり立ち上がったのは……先程刺されたはずのアリアその人だった……

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