15話

 すっかり夜が明け、太陽が暖かな光を投げかける頃、ロベルトとリリンは目を覚ました。新鮮な太陽を全身に浴びて、大きく伸びをする。そこに、ルヴォルスが現れた。

「おはよう、二人とも。よく眠れた?」

「……? ああ、意外とな。野宿も悪くない」

 先に支度を終えたロベルトが振り向きざまに言葉を返しつつ、ふと首をかしげた。だが特に何を言うこともなく、そのまま会話を続行する。

「でも少し体がいた……きゃっ!? ちょっと、何で服着てないのよ!」

 同じく返事を返したリリンだったが、驚きに悲鳴を上げた。そこにいたのは半裸のルヴォルスだったからだ。

 いくら長年の付き合いがあるとはいえ、年頃の少女が異性の半裸を見るのには抵抗があった。しかもその体が案外引き締まった男らしい体つきだったのだから尚更だ。

 三人の中で唯一の前衛職であるルヴォルスは、当然ながら鍛えている。多分、ロベルトよりよほど男らしく引き締まっているだろう。

「俺も気になってたんだが、ルヴォルス、服はどうした?」

「明け方に踊ってたら汗掻いちゃってね。水浴びてたんだ。体が火照ってたから脱ぎっぱなしにしてたんだけど、着た方がいいみたいだね」

 ちらりとリリンを見たルヴォルスは、放っていた服に腕を通して出発の準備を始めた。

  さて、そんなこんなで朝のひと騒動もあったが、三人は再び歩き出した。予定では今日中に隣町へと着くことになっている。盗賊という予想外のハプニングはあったが、最初の旅くらいは予定通りに行きたいのが本音だ。

 これから先、旅が予定通りに進むなどという甘いことは誰も考えていない。

 冒険者というのは危険な職業だ。命を落とすことだってありえる。実際、新米冒険者がモンスターとの初戦闘で命を落とした事例は数えきれないくらいよく聞く話だ。

 例え雑魚と呼ばれるモンスターでも気を抜いてはいけない。冒険者の鉄則である。

「そういえば、春にランク昇格試験があるんだったよな?」

「ああ、アロンダさんがそんなこと言ってたわね。それがどうかしたの?」

「いや、聞いただけだ」

「そっか。まあ、僕はロベルトの判断に従うよ」

「私も。パーティリーダーは貴ロベルトだもんね」

 そう言ってくれるなら、昇格試験、来春受けてみるか。ロベルトは微笑を浮かべた。

 その前にまずは冬を越すことと試験を受けられるランクまで上がれるかが問題なのだが、それは言わぬが花だろう。

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