証言者Eの供述

 Eさんが演劇部にいた頃は、どんな感じでしたか?

「えー? 皆楽しくやってたと思う……よ?」


 どうかしましたか?

「いや、まあ皆仲良かったんだけど、人には合う合わないがあるでしょ? 私にも合わない人がいて……ああでも、大きなトラブルとかはなかったよ?」


 その人とは何故?

「真美……っていうんだけど。なんか合わなかったんだよね……性格がちょっと偉そうっていうか、高圧的っていうかさ……引退する前に三年だけで劇やったんだけど、その時も揉めた揉めた。無事に公演が出来たのは奇跡だよ」


 そうですか……では引退された後の演劇部は、Eさんから見てどんな感じに見えましたか?

「なんか一気にだらけた感じだね。私たちの頃が厳しすぎたのかもしれないけど、皆だらだらしちゃって。やることも適当になってって……うーん、ちょっと酷かったね」


 そういえばEさんは、引退された後もよく部活に来てましたね。

「私は推薦だったからね。文化祭も人手が足りてないみたいだったから、手伝うつもりだったし。最後に部活に来たのは、夏休みだったかな……? 皆で倉庫の片付けしたよね。夏休み明けすぐに文化祭があるから、皆バタバタしてたっけ」


 倉庫の片付けをしたあと、文化祭でやる予定だった劇を観たわけですけど……Eさん的にはどうでした?

「ちょっとねえ……うん……まだ改善の余地あるかなって感じだったな。皆さ、自分の役に一生懸命で、全然周りが見れてないなって思った。お客さんの目を意識しきれてないな、って印象だったな……特に主役の楓ちゃん。なんか、こう言っちゃ悪いけど上手くなかったね」


 なるほど……演劇部廃部の原因は、なんだと思いますか?

「やっぱ、文化祭じゃないかなあ。あれで仲間割れして、色々辞めちゃったわけだし? それと……後を継ぐ人が少なかったのもあるね」


 一年生、一人だけですしね。

「結構な痛手だよ、それって。部活存続にとっては致命的だからね。うーん、新歓の劇が悪かったんじゃないかなあ」


 Eさんから見たら、新歓の劇は悪いものだったんですか?

「いや普通引いちゃうよ、あんなの。いきなり剣持った先輩がブチギレて来るなんて、皆びっくりだから! びっくりしすぎて引いてたよ?」


 そうですか……では最後に、演劇についてどう思っていますか?

「私は演劇が好き。色々なことあったけど、今では全部いい思い出だな。だから、たくさんの思い出がある演劇部がなくなっちゃったなんて、すごく残念だよ」

 大変参考になりました。貴重なお話、ありがとうございました。

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