熱血野郎は嫌いだ
そいつが北海道いったら北海道が猛暑日になる。みたいな熱血野郎がうちのクラスにはいる。
私の友達はそいつのせいで死にかけた。
今は学校に来ていない。
リスカちゃんはリストカットをする子だ。
私はそれをアイデンティティーと解釈してる。
別に悪いことでもなんでもないと私は考える。
ん?いや、悪いことだとは思うけどお母さんが叱るような悪いことだと思ってる。
腹が立ったりしたら枕を投げたりドアを強く閉めたり…それと一緒だと思ってる。
私はその女の子の悩み相談をしていた。
最近ようやくリストカットをせずに、憂さ晴らしや、悲しいことを晴らすことが出来るようになったころ。
彼女から悲痛そうなメールがきた。リスカしたいと。
したくなったら言ってくれと伝えて正解だった。
学校ではスマホは禁止だけど、教室の隅で電話をかけた。
そして話を聞く。
病んでいる人に私たちは何もできない。
解ったような口を聞いても、所詮気持ちを理解できない。
正直したくもない。怖いから。いままでの自分が全否定されるほど私から遠くかけ離れているから。
出来ることは話を聞くだけ。たまに代案を出すだけ。
極度に肯定も否定もしちゃいけない。
で…話を聞いていた。
「うん。リスカしたいのは解ったよ。してもいいよ。
でもキレイなタオルとか消毒液とかをちゃんと用意してね。
で、カミソリもきれいに洗うこと」
「うん…。わかった」
「したくなかったらしなくてもいいんだよ」
「まった!リストカット!?かせっ!」
そこでそいつがスマホをもぎ取った。
多分正義ちゅうだから校内スマホを、注意しにきたのだろう。
「やめろ!そんなことするなっ!親からもらった体に…」
「黙れ!このクソッタレ!」
多分「リストカット」とあいきわまって私の声はみんなに聞こえただろう。
気づいたらそいつの頭を蹴っていた。
「していい!リスカしていいか…ら」
途中で気づいて声を落とす。激しくしゃべると人はその言葉を聞きたくなくなる。
怒られている気がして。怖くなって。
「否定しないよ?安心して。してもいいから」
「うん…でも…」
「だいじょうぶ。息を吸って…吐いて…」
また邪魔されたら大変だ。急いでトイレの個室に駆け込んだ。
「すぅ…はぁ…」
「そう…さっき聞こえたのは違う言語。だから大丈夫」
言っててイヤになってくる。結局私も分かったふりして分かってない。
私も私のエゴでその熱血野郎と同じように、自殺をしてほしくないだけ。
ーーーー
どうも。別に知り合いでリスカしてる人がいるわけではないんですけどね。
最近よく考えることです。
最初は女の子と同じ思想だったかた、後から同意されたかた、
でもそんな僕らも「死んでほしくない」というエゴを押し付けてるんです。
熱血野郎が「リスカするな」と言うように。
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