幼少期編14

私の幼稚園時代を時系列で記しておこうと思う。

あまりにもセンテンスが多すぎて、私の中でも整理するだけでも時間がかかる。


私は、3歳から幼稚園へ通い始めた周りに誰も友達がいない環境から、父の転勤が決まり、4歳のときに熊本駅至近の幼稚園へ転入する。

子供ながらに周りのことが気になるのか、新しく入園した幼稚園がとても贔屓が激しい先生方だということをわかっていた。年中の後半という中途半端な年齢で入園した私の友達は、始めのうちはほぼ居ないに等しかった。幼い頃から大切にしていたウサギのぬいぐるみピョン子ちゃん以外のおもちゃを持たなかった私は、当時幼稚園に置いてあった、一番可愛い着せ替え人形のリカちゃんではないけれど、その人形で遊びたくてたまらなかったが、すでに女の優劣関係ができている環境では、私がその人形を手にすることは、まず不可能である。

私の記憶では、みんなが帰ってほんの少しの時間、その人形で数分遊んだことがあるだけだ。それでも私にはとても嬉しいことであった。


 2


当時、一人で過ごしている時に私は何が理由かは忘れたが、丸くて回転する遊具で遊んでいる男子からからかわれた。

名前が理由だったか、素行からなのか、未だにそれは思い出せないが、私が行った反抗行動はしっかりと覚えている。

私は、グルグル回っている遊具につかまっている数人の男子に向かって、砂場の砂を片手に握って、投げつけてやった。

みんな目に入って痛がっていた。「なんばすっとや!」という声を後ろに私は、無言でその場を去っていった。ただ、その男の子たちからは、もちろん同じように砂の雨を頭の上から浴びていた。

砂の雨は、そんなに気持ちがいいものだとは言えないが、振り返ることはなかった。次の日、朝から幼稚園に登園するのは少し気が引けたが、行かなければ、母はパートの休憩時間に帰宅して私の昼食を用意しなければならない。何があったかとかも聞かれるのもめんどくさいので、幼稚園に行くだけ行ったら、別に何事もなかったかのような時間が流れていた。


ただ、昼休み時間に私は先生と呼ばれる人から呼び出された。

昨日どうして砂を投げたのかということについて聞かれた。誰かがしゃべったのだろう。目に入った男子かもしれないし、横で見ていた女子なのかわからない。そんなのはどうでもいいし、私は黙っていた。もちろん砂の雨をそのあとかぶり続けていたことなんて恥ずかしかったし、ことを大きくするのは、本当にめんどくさいことにしか感じられなかった。こうやって振り返ってみると、私の人生は、面倒なことは喋らないようにする。もしくは、説明するだけの感情のコントロールが下手くそだったことがよくわかる。

理性のみでの行動や他の人への行動であれば、かなり論拠立てて死んでもいいくらいの勢いで話せるが、自分への攻撃に対して、私は自分を滅することでしか反応できない。それは、いわゆる大人になった今でも続いている。

そんな中、かーこちゃんと出会った。



かーこちゃんは、私は当時分からなかったけれど、他の友達からはどうも避けられている存在だったようだ。

異分子の私たちは、当然のように仲良くなり、お互いの家を行き来するようになった。かーこちゃんのおばあちゃんは、どうも養豚場をやってるらしかった。

らしかったという言い方をするのは、私自身がかーこちゃんの養豚場を見せてもらえなかったからということもあるせいか、何か謎な感じがするからだ。かーこちゃんの家で思い出せるのは、口が小さい大きな丸いガラス瓶に小銭がたっくさん入ってて、私の中で「あのお金を泥棒したい」という欲求があった。

常に私は、飢えていた。そういった意味では、かーこちゃんの家は、私からしたら金持ちの部類に入る。



かーこちゃんとも西山ジイちゃんの家に行ってたが、私の方が全然長い時間ジイちゃんの家で過ごすことが多かった。

西山ジイちゃんのところで教えてもらった遊びは、ごく普通のものだったけど、全てじいちゃんの手作りだったというところがちょっと違うのかもしれない。水道管でできた足をかけるところが1mくらいの竹馬? だったり、これは普通に竹だったけど水鉄砲、あと教わったのは木登りや屋根に登ってぼーっとすること。猫と一緒になって眠ること。それと絵を描くことだった。竹馬は、およそ片道100mのところを往復する競争を小学生同士でやりあった。水鉄砲も先の方に布切れを蒔かなければならないとか、じいちゃんに教わったことは、私が思い出せる以上のことなんだと思う。木登りしていた木は確かイチョウの木でそこにお手製のブランコも作ってくれた。じいちゃん抜きで遊ぶこともあったし、そうでないこともあったけど、じいちゃんの耳にはいつも子供達の声が聞こえてきていたことと思う。そんなジイちゃんだったけど、町にはうるさい婆さんがいて、なんだかややこしいことになってきた。

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