ゴシック体
君の顔を見れてよかった
たまに届くゴシック体の短い文章から
君の顔を僕の額に浮かべることはできていたけど
やっぱり 君の顔を見れてよかった
それは ゴシック体の文字でどんなに言葉を重ねても表せない魅力的な顔だから
君と話せてよかった
たまに届くゴシック体の短い文章では
とても足りないくらいの言葉を話し
とても足りないくらいの言葉を聞き
言葉をたたみ込むように重ね
そして最後には やっぱり 言葉をそっと置いた
君に触れられてよかった
少し荒れていたけど
昔とちっとも変わらない大きさの手に触れられてよかった
君は求めていたかどうかはわからないけど
少なくとも僕は君を求め そっと手を握った
指の間に指を入れて握ったその奥で
ほんの少しの痛みを感じながら
君はどんなことを考えていたんだろう
君にキスできてよかった
昔の感触を辿りたかったから
君は求めていたかどうかはわからないけど
僕は手を握ったあとに 考えていた通りに君の唇を求めた
最初 少し歯で噛まれたけど
そのあと 僕の求めに応じてくれた
と 今では思っている
でも
次の約束をしていない
のちに 僕は短いゴシック体の文章を君に送るだろう
ゴシック体でいいから
短い文章でいいから
触れなくてもいいから
キスできなくてもいいから
君の言葉に会いたい
君の顔に会いたい
君にまた会いたい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます