それが一番難しい




♪もう不確かじゃいられない


昔 誰かが歌ってた

なのに 今だってずっと不確かなままだ

そればかりか 不確かなものは増え続けている


テレビを見て頷けば 「情報操作」だと誰かは言い

新聞を見て頷けば 「何もわかっちゃいない」と誰かが罵る


「すべての表舞台に立つ者は腹黒い者たちの影絵だ」と誰かが言い

賛成すれば 「すっかり躍らされている」と誰かに馬鹿にされ

反対すれば 「売国奴が!」と誰かに攻撃される


何を見てわかればいい?

何を読んだら「わかった」ことになるのか?




「知られなきゃいい」は いつしか正義になったけど

存続のためのシナリオは密告者によって狂いを生じ

いつからか みんなが謝りだした

新聞では お詫びのオンパレードで

テレビでは 禿げ上がった頭のお辞儀のオンパレードだ

責任者が職を失って困るのはその家族だろう

こっちはもうとっくに困っていることすらわからなくなってる




でも そうとばかり言ってられない

実は 僕の小さな職場でも謝らなきゃいけないことが結構あるから

でも 知られるまでは 涼しい顔でいくつもりらしい

また 知られたところで記者会見を開くまでの職場じゃない


「ふぞろいの林檎たちⅡ」でもそんなのがあった

取引先の不正を正すどころか その不正を会社の儲けに結びつける足掛かりにした

時任三郎は不覚にも取引先に頭を下げ その日はきっと酔っ払って

そして 次の日は二日酔いで出勤したんだ




それがきっと世の中なんだろう

不正が正義になっている不確かな世の中で

歌をつくるか目を瞑る以外にいったい何ができる?


表と裏

裏の裏


わかっている

わかっちゃいない


ああ もうたくさんだ





♪本当のことを知りたいだけ


その昔の歌にはこんな歌詞もあった




それが一番難しい





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