セーヌの畔で




とかく 総コメンテーター

自分こそがロベス・ピエール みたいなしたり顔で

宮殿から町内のごみ置き場にいたるまでを 語る


見たくないものを わざわざ覗き

見たくないものについて わざわざ語る


黒い騎士よ

君が押し入るべき館は此処ではない

どうせなら オルレアン公をやってはいかがか


どの道 私はフェルゼンの成れの果て

アントワネットもフランソワーズも もはや錆び付いた心の中にしか存在しない

ただそれを歌にして セーヌの畔で唄っているだけに過ぎないのだ

聴きたくなければ 耳を塞げばよい

見たくなければ その場をそっと立ち去ればよいのだ

もし私が チケット代でも請求したのであれば

斧を振り上げ バスチーユでも何でも攻撃すればよかろう

誰の者でもないセーヌの畔で

私はただ唄ってるだけに過ぎないのだ





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