第7話
「ねえ、絵未。聞きたい事があるの。」
次の日のお昼休み。
放課後体育館裏に来てほしい、とあおいに伝えようとしたら、
私の方が逆に呼び止められてしまった。
「どうしたの?」
「・・ちょっと場所変えてもいいかな?」
「全然いいよ。」
何の話か全く予想がつかなかったけれど、
大切な話だという事は分かって。
あおいの要望で使われていない教室へと移動する。
窓際に立ってしばらくグラウンドを見つめたあおいは、
ふー、っと息を吐いて。
「あのさ、絵未って、」
「うん。」
「翔くんの事好き、だったりする?」
カチッ、と自分の中で何かがはまって、
グラグラしていた心が動きを止めた。
私の心臓、今動いてるのかなあ。
制服のスカートをぎゅっと握り締めて、
震えた声で、あおいは私にそう聞く。
「・・・あおい。」
「・・・はい。」
「断じてない。絶対にありえない。」
「・・本当?」
「嘘ついてどうすんのよ。」
「本当の本当?」
「本当の本当。ぜっったいありえないから。」
しばらく私の目を見つめたあおいは、
はあ、と今度はゆっくり息を吐きだした。
「そっか・・そっかあ・・。ああなんか・・疲れた。」
「何にそんな緊張してたのさ。」
あおいが握り締めていたスカートはしわになっていて。
・・・勇気、出したんだろうなあ。
もう、分かったよ。
あおいがなんでそれを聞いたのかも、言いたい事も。
「絵未、私さ。」
「うん。」
「好きな人がいるの。」
「うん。」
「その人なんだけどね…」
全てを話し終えたあおいに、
彼からの伝言を伝える。
『今日の放課後、ホームルーム終わってすぐに、体育館裏。』
その時のあおいの顔は真っ赤で、耳まで赤くなっていて。
そのせいか綺麗な黒髪がさらに黒く映って、
やっぱ綺麗だな、なんて思った。
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