第5話

「それじゃ、今日はここで終わり。」


チャイムの音が鳴ると同時に先生の声が響いて、

4時限目の授業が終わる。


「おわった~・・・」

「ね、お昼食べよう。」


あおいの言葉にうなずいて、お弁当を開く。


お昼前の4時限目の授業が個人的に一番長く感じる。

眠いし、お腹はすくし、嫌いな数学であることが多いからだろうか。


「ハンバーグ入ってる!ラッキー」

「私はブドウ付きだ。うれしいな。」


「「いただきます。」」


蓋を開ければいい匂いがして、

食べる事の幸せをかみしめる。


運動しているからいいという考えで特にカロリーなどを気にした事は

無いのだが、周りには気にしている子も多くて。


でも食べるの好きだしなあ。

食事制限とか絶対無理だし、

朝ゆきさんがくれるものは食べちゃうし。


・・・よし、もし太ってきちゃったら考えよう。


ああお弁当美味しい、今日も幸せ。



そんな事を考えながらふとあおいをみれば、

窓越しに校庭をじっと見つめていて。


「・・・?」


彼女は微笑んでいた。

その眼差しは、とてもとても優しくて。


特に何も考えずその視線を辿れば。



サッカーボールを操る彼の、少し明るい癖毛が揺れていた。



心臓が、音を立てた。

声をかける事も出来なくてじっと見つめてしまえば、

しばらくしてあおいが視線を戻す。


つまりはバチッと目が合ってしまったわけで。


「絵未?どうかした?」

「・・・あ、なんかボーっとしてた。」

「あ、ほんと?私も、あったかくてボーっとしちゃった。」


そう言ってあおいはタコさんウインナーを掴んで、

美味しそうに頬張る。


「・・晴れてるとね、ぼーっとしちゃうよね。」

「ね、授業中も眠くなるしねえ。」

「それだよ!ほんとに眠い毎日。」

「絵未は寝すぎだけどね。」

「・・・返す言葉もございません。」


いつものような会話が楽しめないのは、

きっと私が弱いからだろう。

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