帰り道
私は、兄さんが消えた時の光に触れて、闇の力を失いました。闇の中が視えなくなったから、そのことにすぐ気づけたのです。
兄さんの行方を探そうとしたけれど、アシフザックさんに止められました。アシフザックさんの話では、兄さんは精霊と契約を結んだことで普通の人間には視えない存在になったそうです。
私はあの日以来、兄さんに会うことはありませんでした。
砂の都では、オリシュアさんたちと聖都の騎士たちが会議を行っていました。聖都の騎士の目的は、闇の力だったそうですが、アシフザックさんが説明に入り、私にはもう力がないということを納得したようです。メフェリスさんから聞いたのですが、アシフザックさんは過去に世界を巻き込むほどの事件を解決した一人だったそうです。そんなすごい人だとは思いませんでした。
聖都へ帰る途中、あの商人のおじさんに会うことができました。私たちとの出会い以降、商売が繁盛しているようです。別のマジックアイテムを手に入れたと言って、私に幸運のコインを譲ってくれました。
このコインのおかげか分かりませんが、私は怪我や病気を患うことなく、健やかに日々を過ごすことができています。
これから、私はアシフザックさんの元を訪ねようと思います。私は、アシフザックさんの言っていた言葉が気になっていたんです。
『精霊と契約を結んだことで普通の人間には視えない存在になった』
きっとアシフザックさんのような魔術師になれば、あるいは何かしらの力を得れば、兄さんに再び会うことができるかもしれません。
ふと、空を見上げると、遠くから私を呼ぶ声が聞こえるような気がします。
黒の少女、光の使徒 ほしむらぷらす @asihuzak
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます