光の使徒
光の使徒・聖域の守護者・光の精霊・黒の少女・闇の力・闇の精霊・古き神。何がなんだかシンには分からない。だが『聖域の守護者』になることでマユを守れるのなら、それになりたいと思った。
「シン君。マユ君の力は、闇の精霊が原因だと解明できた。もういい、戻ろう」
アシフザックが後ろから声を掛ける。シンの目の前には依然レムが手を伸ばしていた。その手を取れば、きっともう帰ることができないのだろう。アシフザックの声からそれをシンは感じることができた。
だけど、帰ってもシンとマユには帰る場所はない。聖都では賞金を懸けられている。砂の都にいてもオリシュアに迷惑をかけることになるだろう。アシフザックの元へ行っても同じことだ。それなら――
シンは問う。
「精霊レム。僕はマユを守りたい。聖域の守護者になれば、マユを守れる?」
『少女だけではない、光溢れるこの世界を守るほどの力が得られるだろう』
シンはそれを聞くと、レムの輝く手を力強く握った。
『契約成立』
目の前が真っ白に包まれた。シンは、力強い光に目を開けることができない。
レムの手の感覚ははっきりしていて、空中へ引っ張られているようだった。飛んでいる感覚に驚きながらも、光の収まりを感じて目を開ける。
「これは!?」
シンは先ほどまでいた地下神殿ではなく、どこか知らない空の上。雲の上に立っていた。見渡す限りの青空の中、ひとつの光が近寄る。レムだ。
『良くぞ我が申し出に答えた。これで汝は光の使徒・聖域の守護者だ』
「待って! マユやみんなは?」
『少女は闇の力から解放され、地下神殿を去る。そして都へと帰るだろう』
「よかった……もう大丈夫なんだ……」
『少年よ。己の身は案じぬのか?』
「…………うん」
『良い覚悟だ。我と共に光の使徒としての使命を果たそう』
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