地下神殿
シンが受けた切り傷の応急処置を終えて、メフェリスは地下神殿へ案内する。緑に向かって進み続けると、オアシスにたどり着いた。
オアシスの水を飲み休憩するシンとマユ。アシフザックに呼ばれて向かうと、ぽっかりと地面に空いた縦穴の洞窟があった。それが地下神殿への入り口だ、とメフェリスはいう。
その洞窟の壁面は螺旋階段のようになっていて、道具がなくても下まで降りることができる。一行は、壁に手をつき、慎重に階段を下りていく。
洞窟の底にたどり着くと、そこには横穴が続いていた。
その横穴は、地下道同様の光が点いていた。シンは、ふとオリシュアの言葉を思い出す。
「闇を司る神がいた。古き神のため、その姿を現さないだろうが。その神を祭る地下神殿がある。そこへ向かえば、何か手掛かりがあるだろう」
「闇を司る神がいた場所のに……なんで明るいんだろう……」
シンは思わず声に出していた。その声にメフェリスが答える。
「道を進めば分かるでしょうが……この洞窟の先と今来た道を見比べてみなさい」
「?」
シンとアシフザックは一緒になって首を振り見比べる。すると、進んでいく道の方が暗いことに気づいた。
「少しずつ暗くなってる……」
「メフェリス君。このままでは暗闇を進むことになるのではないかね?」
「安心してください。奥には松明がある。その火を頼りに進んでいけます」
メフェリスの言う通り、奥へ進むと、松明と火付け石が置いてあった。
先頭を歩くメフェリスが松明を持ち、道を進む。やがて天井の光は完全に消えて、闇の中を歩いていた。
「ここです」とメフェリスは立ち止まり振り向く。それまで松明が照らしていた天井や壁が見えず、風の流れを感じることができる。広い空間に出たのだ。
地下神殿についたと言われても、何も見えないので実感は湧かない。シンはマユと手をつなぎ、辺りを見ようと目を凝らす。
「しばしお待ちを。近くに
メフェリスはそういうと奥へ進み、松明から篝火に、火を移す。すると、どのような仕掛けが組まれていたのか、複数の篝火が灯る。
そして地下神殿の一部が照らされた。一般的な石造りの神殿と違いはないように見えたが、闇のせいか篝火によってできた影のせいか、不気味な雰囲気が溢れていた。
天井の一点が篝火とは違う白い光を出していることに、シンとマユは気づく。
「あれはなんですか?」
マユが指さす光にメフェリスは驚く。
「あれは! まさか!?」
白い光は、雪が降るようにひらりと舞ったかと思うと、強くつよく輝きだした。そして光は徐々に大きくなり、人の形を
それは、語り出した。
『我が名は、レム。汝ら人間を待っていた』
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