7日目

 昨日は不本意ながら栗まんじゅうを腹いっぱい……、いや、人類の限界に挑戦するレベルで食べた。気分は最悪だが腹は膨れた。しかしながらもう食べ物召喚はやめよう……。


「で、リリアはそこで何してるわけ?」

 今日は朝からリリアが岩陰に隠れてコソコソしている。


「長らく身を清めておりませんの。恥ずかしくて出ていけませんわ……」

 なんか今更清純派きどってるっぽいんですけど、存分に今更です。昨日は奇声を挙げながら漫画肉喰らってたじゃねぇか。

「わたくし湯あみがしたいですわ」

「ここ荒野のど真ん中。水すらまともにありません」

 俺の反論に、「水が無いなら、ガチャればいいじゃありませんこと?」という、どこかで聞いたことがあるような無いような暴論が返ってきた。断頭台に送るぞコラ。


「なんか俺って便利使いされ過ぎじゃない? コンビニか何かだと思われてるんじゃなかろうか……」

「せっかくですし、読者サービスのためにお風呂回を……」

「メタるなオイ。この作品、絵は無いからね!! 作者も絵心ないから!!」



 ガチャ



 そしてカプセルの放つ光から現れるバスタブ……、と?


「キャー! ○び太さんのエッチィィ!!」

 俺の頭から浴びせかけられるお湯。

「送還っと」

 ポチ


 "バスタブとおまけ"が光に消え、残されたのは、お湯が滴る俺。

 いやぁ、お湯ぶっかけてくる反射速度がすごかったなぁ。同級生のメガネ男子が「どこにでも行けるドア」で日常的に風呂へ出現しているだけあって、撃退が手馴れてるわ。

「あぁ、お湯を浴びるなんて羨ましい……、どうせならわたくしが浴びれば読者サービスだったのに……」

「……」


 ガチャ装置は無情にもコインが返却されてきたことを俺に告げる。

 水を滴らせながら、俺はレバーを回した。



 ガチャ



 光に浮かび上がる影。割と大柄な人間?


「あらぁ、また会ったわねん♪」

 美魔女?エリィが水着でポージングしている。セパレートタイプでショッキングピンクの際どいビキニだ。

「サービスの方向性誤っとる!! え? ビキニの"上"要る!? 隠すものあるの!?」

「やだぁ~、ガチャクンったら」

 エリィがクネクネしながら頬を染める。おい! やめろ! 気色悪い!!

「そんなに見たいのかしら? もう、しょうがないわね──」

 エリィはそう言いつつ、背中に手を回し……、

「外そうとするな!! R18になるだろうが! いや、ならないけど! 精神的にNGだわ!!」


 結局、エリィが水場を掘り当て、リリアはそこで水浴びをし、さらにエリィにより衣服は洗濯され、夕食の調達・調理までこなしてこれた。あれ、おかしいな。エリィが聖母に見えてきた。

「くっ、気をしっかりもて! 大丈夫、俺は正気だ!」

 従者は水着姿のエリィを拝んでいた。あれを見て反面教師としとこう。


「つ・い・で・に♪ マッサージでもしてあげましょうか?」

 エリィが唇に指を当てながらにじり寄ってくる。

「や、やめろ! "ソッチ"の道に引きずり込もうとするんじゃない!!」

「悪いようにはしないからぁん♪」

「いいようにされるイメージしかねぇよ!!」


【世界のモンスター率99.99999%】

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