3日目
昨日はやばかった。
馬車を引くどころか、モンスター並みか、それ以上に暴れる赤い馬。それをなんとか食べようとするリリア。リリアを止めつつ馬に襲われる俺。傍観する従者。あいつ許すまじ。
謎の三つ巴?の戦いに明け暮れた夕べ。リリアと赤い馬の同時攻撃で俺は天に召されかけた。
「結局、今日は馬どうするの?」
「ああ、そのことでしたら……」
リリアの視線の先、馬車の牽引用馬具に繋がれた従者は、馬車を引きつつ俺たちの周りをスイスイと走る。
「できるのかよ! 昨日の召喚はなんのためだったんだよ!! てか、お前はそれでいいのかよ!」
「ヒヒーン」
「なりきりすぎだろ!!」
従者、アイツのキャラがつかめないわ。
従者の衣服は微妙にボロで、首に不思議な刺青が入っているためか、妙に馬車馬が似合うのがまた……。
「今日は適当にお願いしますわ」
「要望も雑すぎるだろ!!」
適当って……。まぁ、回しますけどもね。とりあえずあまり有名じゃない奴にしてもらわないと。有名なヤツは大抵ヤバイからな……。
俺はいつものようにコインを投入し、ガチャのレバーを回す。
ガチャ
飛び出したカプセルから光が放出され、その先に微かに見える何者かの影。
「ハハッ!」
「エレクトリカルゥゥゥゥ!!」
俺史上最速で送還ボタンを叩いた! あの甲高い笑い声はやばすぎる。史上最も出てきてはいけないネズミだ。
"有名じゃない奴"って思って召喚したのに、思いっきり逆張りしてきやがった。嫌がらせか!!
「はぁはぁ、あ、あぶなかった……」
妙な緊張感で冷や汗が出た……。
「……」
そういえば、リリアが無言だ。何のコメントも無い。俺はリリアに水を向けるように、彼女を見た。
俺の視線に気づき、彼女は口を開く。
「いえ、アレは食べるところが……」
「そういう観点で見るんじゃねぇ!!」
「うん、気が重い!」
俺はスタミナコインを手に宣言する。直前のアレの後なので、大そう気が重い。やっぱりもう一回やらないとダメ?
「どっちでもいいですよ?」
「だから雑すぎだろ!!」
リリアのダメな発言に甘えそうになりつつも、俺の使命はガチャであると自戒し、レバーを回した。
ガチャ
「危険ですので下がって……、アレ?」
「消防官?」
カプセルから現れたのは、銀の衣服を纏った、まさしく消防官だった。
「本官で役立つなら、お手伝いしましょう」
た、頼もしい。まさにファイヤーファイターは勇者だな!!
とはいえ、ジュン君に退路を作ってもらった結果、周辺に今のところモンスターの姿は見えないため、とりあえず馬車の移動を手伝ってもらった。
文句一つ言わずに、従者と一緒に馬車を押してくれた。なんだか申し訳ない気持ちになったので、俺も一緒に押した。ちょっといい汗かいた。
「あれでは食べられませんわ……」
「それしかないのかよ!!」
【世界のモンスター率99.0%→99.99999%】
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