2日目

「とりあえず、馬がつぶれてしまいまして……、馬を召喚してほしいのです」

 お姫様もとい、リリアは少々上目使いで俺を見つめつつ、そう懇願する。

「"勇者ガチャ"っていう設定無視!?」

 昨日、地の果てまで逃げ、何とかモンスターの包囲から逃げ延びた。体感で数時間ほど走った後、ちょっとした岩山があったため、その麓で野営となった。この世界、本当に何もないね。どこまで行っても荒野。草木も生えてない。


「ってか、つぶれた馬はどこいった?」

 昨日走った後、馬は疲れていた感じではあったが、つぶれたという風ではなかったように思うが……。

「……おいしかったです」

「食ったのか! はっ! まさか夕べのアレ!?」

 夕食はまさかの馬肉だった!!



「"馬"とか出てくるのか?」

 俺は懐疑的になりつつも、ガチャ装置に本日のスタミナコインを投入する。



 ガチャ



 飛び出すカプセル。そして空中で割れて光があふれ──


「でってぃう!」


「はい、二段ジャンプ!!」

 送還ボタンをぶっ叩く! 向こうの世界で存分に踏み台になっといてくれ。

「あぁ、足腰の強そうな生き物でしたのに……、あれなら直接背中に乗ってもいいし、最悪食べ──」

「おっと、それ以上は言わせないぜ!!」

 なんというか、最後に残った人類だからなのか。リリアはお姫様の割にたくまし……過ぎない?


 さっきのアレは、馬というか乗り物?だったけども。一応"勇者"以外も出てくるんだな……。そういえば、CMの白い犬とかも出てきことあったな……。


「普通の馬出てこい! いや、普通よりはちょっとイイ馬出てこい!」

 俺は願掛けしつつコインを投入し、レバーを回した。


 ガチャ


 カプセルから漏れた光に浮かぶ馬のシルエット。これはキタか!?

 現れたのは赤毛の馬。

「あぁ、これは私も知っています。一日千里を駆けるという……チラチラ」

 リリアは赤い馬に近寄りつつ、俺をチラチラと見てくる。こ、これは……、


「OKセーフ!」


 この赤い馬は、中国の歴史的に超有名だけど著作権的にはセーフだろう。

「では、早速馬車に……」

 リリアがそういって近づこうとした瞬間、


 ガッ!!


 空を舞う従者の男。リリアすげぇな、瞬間的に従者を盾にしたぞ? あ、そういえば従者の名前聞いてないな……。


「ブルヒヒィィィィィィン!!」

 暴れまわる赤い馬。

「も、モンスター並みの暴威じゃねぇか!!」

 気性が荒すぎて扱えませんでした。


【世界のモンスター率98.0%→99.0%】

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