小さな丸い世界

ビー玉が好きだ


元々、硝子ガラスに惹かれるたち

透明なものから

ミルクガラスと呼ばれる

半透明なものまで

年月が経って少しものも

その風情が愛おしい


小さな硝子細工や

ミルクガラスのマグカップ

アンティークのブローチ

そんなものたちと一緒に

昭和初期のビー玉をいくつか

譲っていただいて所有している


最近のものよりも小粒で

手作りらしく、まん丸でなくて

ほんの少し歪んでいて

透明なものもあるが乳色で

まるで飴玉みたいな模様が入っている

優しい小さな丸


考えてみたら、幼い頃には

ビー玉よりおはじきで遊んでいたし

こんな柄のものを見かけることも

既に無くなっていたから

大人になってから

知ったわけだけれども


いつもは蓋付きの硝子瓶の底に

柔らかな白い布を敷いて

そこに入れて飾って楽しんでいる

そして時々、瓶からそっと取り出して

掌に置いて転がしてみたり

太陽の光に翳してみたり


綺麗きれいだなぁと思う

その完全でない歪ささえ

むしろろ温もりにはなっても

損ねられてはいない

不思議な小さな丸い世界に

わたしは魅せられる


こんな美しさが好きだ


わたしはこの少し歪な

ビー玉が好きだ

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