それでもね

優しい気持ちでばかりはいられない

自分が極限に追い詰められた時には

そりゃ、世間を恨んだりもした


自分の痛みで、のたうち回っている時に

他人ひとの事を思いやれるほど

大きな器量の持ち合わせなどなかった


それでもね

じゃあ、とヤケになって

他人ひとを害したいとは思えなかった


それは優しいからというより

自分が痛いのとか苦しいのとか嫌で

血を見るのも怖くて


まず、自分が耐えられなかった

考えてみたら

顰蹙ひんしゅくを買うような利己主義


それでもね

臆病なのも良かったかもしれないなぁって

胸を張れる理由なんかじゃなくても


臆病者のわたしは

他人ひとなのもなのも

見ていられなくて


やっぱり

みんな笑っていた方が

ずっと良くて


まったくこんなヤツなんです

どこまでも小さなこの器

結局この程度


それでもね

こんなヤツだけど

多分、最後までこんなヤツのままだけど


そんなに嫌いでもないよ

ねぇ、わたし

こんなわたしだけどわたしだけは


ねぇ、わたし。

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