第21話


 日付をまたいでとか、そんな風に始めることを期待し『やれやれ今回はデート回か』となることを想像してた諸君、現実というのは残酷なのであることを理解するがいい。 

 出かける日付は決まりはしたが月曜日が瞬く間に、例えて言うなら次話更新したから変わってるみたいなことに現実はならない。なってくれねぇかなぁ……。


 もし書き手がいるのなら、月曜日という今日を再度書くことに何か意味でもあるのかフラグ立てたけど回収し忘れたとかそんな感じだろう。絶対杜撰だと思う。まじふざけんなし。


 とりあえず、やることをやらなきゃいけない。強いて言うなら昼休みに呼び出されたので渋々生徒指導室に向かう。


 ただでさえ朝の事件があったせいで疲れているし疲れる週末になることが決まったため最悪なのに昼食すらとらずに問題児が呼ばれる部屋に呼び出されるとか厄日かな?


 俺がいったいなにをしたというのだ!!


 「テストの成績ですよー」

 「あうちっ」


 ぐうの音も出ないほどちゃんとした理由でしたわ。


 「呼び出しは何回目か覚えてやがりますかー?」

 「ま、まだ両手の指で足りるぐらいですね……」


 入学して3ヶ月に差し掛かろうという時期なのに生徒指導室に呼ばれすぎてつらたにえん。俺は悪くねぇ!


 いや、待てよ。テストの件で呼びたしっておかしいぞ。


 「今回赤点とかは無かったじゃねーですか。成績関係ないですよね?」


 自称進学校であるため定期的に五教科の実力テストと各教科ごとの小テストがあるにはあるが、現在まで俺は赤点をとったこともなければギリギリをとったわけでもない。

 てか、なんで毎月テストがあるの?おかしくない?もはや知識の定着というよりテストのための勉強になってきちゃうよ。


 そりゃあやる気もクソもあったもんではないが最低限赤点をとるほどではない。それは俺の成績を知る担任ならわかるはずだ。


 ふふふ、論破ァ!というやつだな。


 「もちろん異識君の成績が悪いからではないのですよー」

 「悪くないのに呼ばれるとかおかしい」

 「成績が悪いのではなくーテストの点数がおかしいんですよー?」


 はて、テストの点数とな。


 「おかしかったんですか」

 「その前に今回は平均何点ぐらいを目指しましたかー?」


 質問を変えるのやめてほしいし、俺の質問に答えてください。


 「そうですね、平均で75点ぐらいを目指したつもりです」

 「ふざけてるのかって話しですよー?」

 「先生本音が漏れてるのであります」


 ほわほわしてる人から強めの発言って怖いんですよ。腹黒かな。


 「100-60-65-85-65」


 ゲームの種族値かな。でも、それだと素早さが入ってないんですが。


 さては、種族値だけでなにかを当てるゲームだな。ちょと待ってください、今から調べるんで。


 「目標値とジャストなんですよー」

 「あ、テストの点数のことなんすか」

 「それ以外の何があると言うんですかー!」


 あ、怒った。


 で、でも!


 「あれほど、おかしくなるような点数をとるなって言ったじゃないですかー!」

 「こ、今回はバラバラな点数にしたじゃないですか!前回均一にしたら怒られたんで」

 「だからといってキレイすぎるんですー!私また他の先生な嫌味言われちゃいますよー!うえええん!」


 つ、机に突っ伏して泣き始めやがりました!?


 「おたくのクラスの異識君今回私が作ったテスト不満なのかな?とか、異識君が点数調整で私のテストの点数低くしてますねとか!私なにもしてないのに言われるですよー!?」

 「いや、たまたまなんですけど」

 「尚且つ既婚者の先生にはそれだけじゃ飽きたらず、やれ伏幼ふよう先生は結婚してないからちゃんと指導出来ないとか、子供もいないから生徒にきつく言えないのですとか、こっちだって結婚できるのならしたいんですよー!!うるせーんですー!」


 俺のクラスの担任『伏幼環ふようたまき』、年齢2○歳、独身。彼氏なしにして彼氏いない歴イコール年齢の教師である。僕からなにかをコメントはできません。


 「分かりますか合コンに言っても小学生はお酒飲めませんよとか、僕たちロリコンじゃないんでとか言って断られる気持ちをー!」


 始まったよ愚痴。俺って呼び出される度にこの人の愚痴聞かされてるんだよ。どうもストレス発散マシーンです。


 確かに伏幼先生はちんまりしている。顔は美人ではなく可愛い系で髪を長く伸ばしている。身長はきっと140センチにも満たない小学生体型なのな胸はそこそこあるという、いわゆるろりきょぬーでありロリコンホイホイであるが合法という本当にそんな人間いたのかと言いたくなるような人だ。いい人ではあるのだがその見た目から合コンも婚カツも失敗し続けており、俺を愚痴に付き合わせ大人の女性の大変さを教えてくれる。頼んでないんだけどなぁ。


 「どうせ私は幼児体型です、ロリコンしか私の相手をしてくれませんよー」

 「これが闇堕ちというやつか」


 愚痴を言い終わると次に来るのは自虐。こうなると昼休みを潰してまで俺は付き合わされるのは経験済みだ。最悪放課後すら犠牲にされかねない。なんで俺なんだよ。


 「とりあえず落ち着いてくだ」

 「お見合いも断られたんですよー!!なんでなんですか、写真を送っただけで断られるとかそんなに見た目が悪いんですかー!?」


 涙目で訴えてくる。


 そしてスマホを出してきて見せたのは一つの写真。いわゆるお見合い写真だ。


 「どこが悪いんですかー!着物だって綺麗ですし、メイクだって頑張ってやってみたんですよー!?」


 こういってはなんだが……ぶっちゃけ七五三である。着物は確かに綺麗だが所詮子供が背伸びして着ましたという感じだし、メイクだってこんなにしなくても今日みたいなナチュラルメイクの方が似合っている。童顔なのだから下手にすると不自然さが目立つ。


 「うぇええん、もうにじゅうんんん歳なのに誰も相手にしてくれないのですー。この間なんて同級生の結婚式だってありましたしー」

 「あー別に急がなくてもいいのでは?先生は可愛いのでいつかありのままの先生を好きって言う人が現れる―――」

 「いつっていつなのですかー?」

 「え?そ、それは」

 「いいですか異識君、女性は男性と違って年齢を重ねれば重ねるほど結婚が遠のいていくのですよー。特に出産が大変になりますー。高齢出産もありますが体への負担がいっぱいなのですー。わたしだってですねぇ、子供が欲しいんですー!せめて二人以上欲しいのですよー!!」


 知らねぇよ……。


 ロリコンホイホイ(命名は俺)というだけあって先生に近づいてくるのはそういう趣味の輩が大半であろう。金持ちのオジサンとかよってこそう。

 それ以外の普通の成人女性を求める男性たちにとっては拒否を示してしまうのも仕方のないといえよう。


 「うぅ、胸はあるのにー。胸だけじゃダメなのですかー!?」


 ダメに決ま―――いや、これはひとえに決められない。勝手なことは言わないでおこう。


 「私は尽くすタイプなのですよー!?家事だってちゃん―――平均的にできる方ですし、相手が望めば特殊なプレイだって許容できるのですー!」

 「一応生徒の前なんですけど……」

 「だからなんですかー!?このまま一生彼氏ができなくて結婚式にだけ行く寂しい人生は嫌なのですー!!」

 

 結局、先生はチャイムが鳴るまで延々と愚痴と独身女性の哀しみを俺に語り続けていた。

 こういう子供っぽいところがあるから合法ロリであるのに自覚がないのだからどうしようもない。

 そして、チャイムが鳴る頃にはスッキリした顔で生徒指導室から共に出ていった。


 最後に、


 「いつも言ってますけどテストなんですがー」

 「……はぃ」

 「バレないようにやりなさい、手抜きしてもバレなきゃ怒られることもないのですからー」


 まともなことも言ってくるのだから始末に終えないし、憎めないのだ。


 「らじゃです」


 年長者のありがたい言葉をいただき教室へ戻る道を歩く。


 考えることは多いが、一番きちんと考えなきゃいけないことが今週の週末に迫ってきているなだから。








 「そういえば前回は平均50を目指したんだっけ?」

 「おう、全テスト50点にしたら放課後すべて捧げさせられたわ」

 「根本的に蓮はバカなんだよなぁ」

 「その前にあの先生は俺を犠牲するのをやめてほしい」

 「とうとう合法ロリが出てきたからラブコメ的にも王道なのでは?」

 「まずお前のせいで約束修羅場デートをさせられるんですけど?」

 「プラン一緒に考えてやるから落ち着け。それとこのことは漣さんとか俺の妹とかには言ってないよな?」

 「俺が自殺願望あるみたいな言い方やめてくれない?」

 「特に俺が提案したって言ったら共に地獄に直行だからな……」

 「何でデート一つで色んな死が待っているんだろうな……」

 「次回、異識蓮死す!お楽しみに!」

 「不幸すぎる次回予告はやめてもらおうか!」

 

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