第3話「家族と友達」

「ただいまー」

「おかえり、うん、ずいぶん印象変わるね」

僕が家に帰って、最初に髪の感想をくれたのは、ママだった。

ママのコメントは安心だ。

何度も言うが、問題はパパ。

「……」

ほら、僕を見て絶句してる。

「パパ、優美、これから一人称も「僕」に変えて、男の子っぽくするから」

「…そうか」

あれ、なにも文句は言われない?

「お姉ちゃん、ずいぶん切ったね」

「そうだねぇ」

事前に説明しておいた弟とママは、比較的明るい反応をくれる。

パパは…。

「……」

うん、まだ理解しきれてないみたい。


ピロリン♪


僕のスマホが鳴った。

誰からだろう?

『優美さん、もしかして、俺がふっちゃったから髪切ったの?』

違う、それとはまた別問題。

僕は確かにフラれて傷ついたが、違うのだ。

返信を打つ。

『違うよ(しょぼん)大丈夫だから、気にしないで!』

即返信。

『そっか、よかった。似合ってたよ』

…ありがとうのスタンプでも打っとくか。


「誰からだったの?」

ママに聞かれ、

「友達」

と答える。


ママはうっすら感づいているようだったが、僕は自室に向かい、音楽を聴く。

明日は、どんなことが起こるだろう。

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