特別な場所
「まぁ有り体だが、こんなところじゃないかな?」
間も無く、昼休みも終わる頃、出久は取り出した雑誌をカバンにしまいつつ、そう言った。
「うん、ありがとう……」
おれは、お礼を言いつつも、どこか腑に落ちない感じでいた。
「なんかあまり役に立ててない感じがするね」
「いや、すまん。ありがたかったんだけど……」
「けど?」
「遥香が喜ぶのか?って思ったら、全部微妙な気がしてきてな……」
高級フレンチにホテルからの夜景。
言われた中で、まだ学生の身分である、おれ達には不釣り合いな場所も多かった。背伸びして、そういうところに行くのもアリだと思う。
しかし、果たしてそれで遥香は喜んでくれるのか?
きっと遥香のことだから、表面上は喜んでくれるだろう。しかし、本心からなのかと言われると微妙な気がしてくる。
「はは」
すると、何故だか出久は笑い出した。
「な、なんで笑うんだよ」
こっちは真剣なんだよという意味も込めて、キッと睨む。
「いや、悪い、悪い。君も案外、彼女想いなんだなと思ってさ」
「そ、そりゃそうだろ……記念日なんだから」
出久にそう言われて、おれは少し顔を赤らめながら言った。
去年、きちんと祝えてない分、今年はちゃんとしたいんだよ。と、心の中で付け加えておく。
「うん。そうだよね。それじゃあ、僕が今言ったことは忘れて、彼女が好きな場所に連れて行ってあげたらどうかな?レストランも彼女の好み……いや、2人の好みを合わせてさ」
「好きな場所か……」
「ああ。きっと、君だけしか知らない一面もあるだろうから、そういう場所にさ。周りにとっては普通でも君達にとっては特別な場所だって、あったりするだろう?」
出久は諭すように言った。
遥香の好きな場所。
そして、おれ達にとって特別な場所か……
………………
え、何処だろう……
元ぼっちのおれは幼馴染の美少女と同棲しています あすか @gantz001
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