プレイボーイ

「というわけなんだ」


翌日。昼休みの学食にて、おれは手短に説明した。


「それで僕にどうしろと?」


「百戦錬磨のプレイボーイよ。我を助けたまへ」


「そんなお祈りみたいにしてもダメだから。っていうか、プレイボーイじゃないし」


ツッコミつつ、学食のラーメンをすすっていく。


「そんな見た目なのに、未だに経験ないとかまじで詐欺だと思う」


金髪にピアスってもうチャラ男の必須スキルじゃん。


「それが現実ってやつさ。というか、中々辛辣だね?」


「いや、すまん。本音でしか話せない人間なんだ」


「どこかのライトノベルの主人公にありそうな設定だな……」


言いながら、コップの水をぐびっと飲み干し、こちらを見てくる。


「まぁ僕でよければ相談には乗るけどさ。あまり期待しないでくれよ」


「ありがとう、私の良き日本人よ」


おれは両手を握り、祈りを捧げた。

やはり、持つべきものは親友か。

うん、親友。いい響きだ。まぁこいつと知り合ったのは、大学に入ってからだが、もう何年も一緒にいると錯覚する程に仲が良くなってきた。


今、おれの隣にいるプレイボーイ兼チャラ男兼親友のこいつの名前は西条 出久。

父親が小さな会社を経営しているらしく、大学卒業後は後を継ぐことが決まっているらしい。幼い頃から家訓が厳しかったそうだが、大学生の間は自由にしていいそうなので、基本毎日遊びまくっているみたいだ。

おまけにこんなご時世ながら、許嫁がいるらしく、その彼女とは大学卒業後に結婚するらしい。なんともまぁ、浮世絵離れした奴なのである。

しかし、見た目とは裏腹に許嫁の女性とは先程の会話にあったように清い交際をしている。見た目とはなんとも信用できないものだ。


出久とは大学に入学した日に知り合った。

おれが自販機でジュースを買い、どこか1人になれそうなところを探していると、いい感じの場所に出久がいた。

しかし、何故か初対面なのに嫌な感じはせず、お互い色々と話すうちに打ち解けていった。以来、こうして冗談も言い合える仲となったのだ。

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