スーパーフレンズ

記念日

その事件は今日の夜に起こった。


風呂から上がったおれは、タオルで頭をガシガシと拭きつつ、リビングへとやってきた。

そして、冷蔵庫から牛乳を取り出し、コップに注ぎ、それをグビッと飲む。その時、テーブルの端に置いてある卓上カレンダーに気づいた。


あれ、こんなところにカレンダーなんかあったっけ。

そんなことを疑問に思いつつ、それを手に取る。


あーなるほど。ぶちゃカワネコのカレンダーか。

遥香が買ってきて、ここに置いたみたいだな。

苦笑しつつ、カレンダーを戻そうとした時、ある日付に丸がついてあるのに気づいた。


この日付だと来週だな。なんかあったっけ……

思い出そうとした瞬間、おれは衝撃の事実に気づき、身体が震え出した。


これっておれと遥香が付き合った日じゃん……

去年は確か受験もあるってとこで、家で2人でささやかに祝ったんだっけ……

でも、今年はそういうわけにはいかないよな……

っていうか、そんな大事な記念日を忘れるなんて、おれってやつは……


自分に情けなくなる……

ガックリと肩を落とす。

いやいや、落ち込んでる暇はない。

今から案を練り、遥香と祝わなければ。

もしかして、ここにカレンダーを置いたのって遥香がおれに気づかせるタメ……?

それか覚えてるよね?って意味で置いたのか……

何にせよ、申し訳ないが助かった。

もし、来週になって何も無かったら、遥香の怒りの鉄槌が下るところだった。それだけは勘弁だからな。


寝室のドアを静かに開けると、ベッドですやすやと眠る遥香が。

あのかわいい寝顔を鬼の形相にさせるわけにはいかない……

ってか、かわいい寝顔とか何思ってんだ、おれ。まぁ事実なんだから、仕方ないけど。

おれはゆっくりと静かにドアを閉めると、再びリビングにやってきた。

そして、おもむろに携帯のネットで「カップル 記念日」で調べてみる。

しかし、色々とありすぎて訳がわからない。とりあえず、サプライズで何かを演出するのは、かなり高得点らしい。しかし、サプライズか……

やったことがないから、上手くいくかどうか。そもそも遥香がサプライズ演出が好きなのかどうかってところから始まる。

さて記念日、一体、何にするか……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る