おい、編集

「いやいや、ネタにはほら、京介の情報提供が必要だしさ」


「ネタってもう、土台は出来上がってるんだから、それを膨らませればいいじゃないですか」


「それができないから困ってんじゃん!?」


言いながら、ガツガツとオムライスを頬張っていく。


「あ!じゃあ、オムライスがモンスター化して、喫茶店を襲えばいいじゃん!」


「そのネタは無理すぎると思いますし、描いてるのは正義のライダーが出てくる漫画じゃなくて、恋愛ものですよね?」


考えが末期すぎてやばい。まぁその前に描いたとしても担当さんがボツにするだろう。


「えー……担当のOKは出たのになぁ……」


っておい、担当!!


「よし、とりあえず家で描いてくるわ。また来るからその時は手伝ってね」


そう言って、皐月さんは原稿をいそいそとカバンにしまうと、スタッフルームから出て行った。


「はぁ……」


相変わらず、むちゃくちゃな人だな……

そして、何故先ほどの案でOKを出したんだ、担当よ……

そんな原稿の手伝いとか嫌なんだけどな……


再び、大きな溜息を吐きつつ、おれもスタッフルームを出て行った。

結局、手伝いもなかったし、遥香にはすぐ帰ると伝えておくか。

おれは携帯を取り出し、ささっと文字を打つと、メールを送信し、アポロから出ていくのだった。

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