彼女の街で2 2015年01月05日(月)

 電車に乗り、また分からない駅で下りる時、私が聞いていた幻聴は震災で集まった寄付をどう使うかとか、被災者に現金で送るべきだ。とか、そんなことを秋篠宮紀子親王妃殿下と決めているのだ。


 駅で下りてすぐ、一つ宿題を出されて次の年号、平成の次は何にするかを決めて下さい。と宿題を出され、私はすぐに携帯の空メールに○○と新しい年号を決めた。


 今でも分からないこととか、辻褄(つじつま)が合わなかったこととか、どこまでが現実でどこからが非現実だったのか、判然(はんぜん)がつかない記憶が幾(いく)つもある。だから、年が経れば答え合わせできるようになっているんだ。


 私が考えた元号が採用されたとしたら、頭の中で起こっていた事のいくつかは本当に起きたことになってしまうんだ。



 まぁそんなことあり得ないと思うのだが、話は進んで、駅で下りた後(あと)も随分(ずいぶん)歩いた。


 随分(ずいぶん)歩いても民宿に帰れない私を気遣(きづか)って「タクシーを使いなさい。」と彼女は言った。


 彼女の声は次第に祭囃子(まつりばやし)に乗せたみたいに大きくなって、私の事、私の友人の話をし始める。


 そうして、彼女の街中に、今まで頭の中でしか聞こえなかった人たちが全員集合して大学時代の面々も集まって同窓会になっていくんだ。


 「やぁ、久しぶり。」なんて声を掛け合うことはない。「あそこにいるのは誰々だよ。」とかそんな声が聞こえてくるんだ。


 そして、彼女の街から東の半分を川久保玲さんが所有し、彼女の街から西の半分を山本耀司さんが所有し、北極海(ほっきょくかい)が私で南極大陸(なんきょくたいりく)が彼女の所有になって、戦争など起こらない世界がやってくる。


 と一応ハッピーエンドらしき妄想が私の中に広がるのだった。


 また、アメリカは第二次世界大戦の償(つぐな)いとして、日本人が食べるものに関して責任(せきにん)を負(お)うことになって、食事には日本は苦労しないで生きられるという取り決めもあった。


 しかし、その全てというよりは、私が考えたアイデアが生み出す富について皇族の方に奪(うば)われてしまう。


 彼女は必死に阻止しようと頑張ってくれるのだが、皇族を一時(いちじ)嫌いになってしまうのだった。


 すると皇族の方はこう言った。「絶対に反動で寝返(ねがえ)るんだ。」と、つまり忠誠心(ちゅうせいしん)の高い人程、幻滅(げんめつ)して離れていくということだった。



 そんな最中(さなか)だった、母が追っかけて来たのは。


 結局一人で飛び出して彼女の街まで来たのだが、住民票(じゅうみんひょう)も持ってなくて引っ越しなどできないのであったから母が準備(じゅんび)して持って来てくれたのだった。


 母と合流し、民宿で一泊して、母がとった行動に私は唖然(あぜん)とする。


 母は病院を調べ、私を入院させたのだった。


 端(はた)から見ても、もうおかしくなってたんだろう。そして私の入院生活が始まるのである。

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