気仙沼時代24 2014年10月22日(水)

 まず、たくさんの人が死んで行くというのはどういう事なのか説明したい。


 本当に、実際に死んだ人もいる。その頃私はもう閉じこもり、ネットだけに依存(いぞん)していた。


 有名人を罵(ののし)ることもあった。それでかそれでないのかわからないが世界的にはカダフィが死んだ。金正日(キムジョンイル)が死んだ。日本ではハマコーが死んだし三宅久之(みやけひさゆき)が死んだ。ハマコーが死ぬ前には、ハマコー二億円使ったってと、母やS7さんなど個人商店の事業主には専(もっぱ)らの噂(うわさ)になっていて、なぜか知らないがネットではなく近くに居る人からその話を聞いた。


 これは現実のことだし、ここに挙(あ)げた人は罵(ののし)った覚えはあるが本当に死ぬとまでは想像しなかった人だ。カダフィや金正日(キムジョンイル)については死んだ方がいい人だったろうと思っていたが、ハマコーや三宅久之がどんな人で死んだ方がいい人だったかというと、私は彼らについてそもそも知識が乏(とぼ)しい。


 ハマコーは私のフォローしてるアカウントが見られたくないと思いブロックをした。


 三宅久之(みやけひさゆき)については若い奴らはみんな軍隊(ぐんたい)で鍛(きた)え上げた方が良いと言うようなことをテレビで言ってるのを目撃して嫌な奴だと思って罵(ののし)っただけだった。


 でもそれは後(あと)になってわかる類(たぐ)いのものだったし、どういう状況で死んだのか分からなかった。


 私が怖くなったのはアメリカ大使館の少女が余りにも日本を馬鹿にしてるのを目撃してブロックしたことだった。小学生や中学生だったろう。ルシファーを信望してたその少女は以前、開いたことのある666のホロコーストを謳(うた)ってるサイトで見かけたような小さいうちに世界の裏側(うらがわ)まで知ってしまったような女の子のように私には見受(みう)けられた。


 少女の美貌(びぼう)は類(たぐ)い稀(まれ)なものがあった。最初は何の気なしにフォローしてたのだが、発言がどうしようもなかったためにブロックしたのだ。


 お互いがお互いについてそこで少し罵(ののし)り合った。


 するとどうだろう。夜中にコンビニに出かけると、黒い軽自動車に若いブロンドの女の子がこちらに手招(てまね)きするのだ。後ろにはカスタムしたような傷一つないメルセデスベンツが停まっていて、厳(いか)つい男がコンビニに居た。


 私はヤクザだ、と思ったし、少女が私を救おうとしてるのははっきりとわかった。初めての女性からの逆ナンパのようだった。


 でも、私はこの頃、彼女の声が聞こえていて彼女にまた夢中になり始めていた。彼女以外の女性にくっついていくことなどできなかったのだ。


 それに、私もコンビニで時間を潰(つぶ)して、その間に少女に逃げて欲しかった。


 驚くだろうが、私はこの時、アメリカ大使館の少女が私に会いに気仙沼まで来ていたのだと思ったのだ。


 写真で見る程(ほど)細くはなかったが確かに写真で見てたのを実際(じっさい)にしたらこんな感じかというような顔をしてた。おかしいけど、ネットに依存(いぞん)してた私は、自分に起こる出来事(できごと)とネットで起きた出来事(できごと)を縮(ちぢ)めて考える癖(くせ)がついていたんだ。


 後日(ごじつ)、涌谷(わくや)というところで女性の変死体(へんしたい)が見つかる。木がなぎ倒されていてそれに当たって死んだと報道された。女性は犬の散歩に出かけていたというのだ。


 なのに、顔は原型が分からない程(ほど)潰(つぶ)されていたという、奇っ怪(きっかい)な事件だった。



 報道を鵜呑(うの)みにすれば、アメリカ大使館の少女が死んだのでは無いということが分かる。


 しかし、私にはあの少女がヤクザのベンツに追い回されて殺されたイメージしか残らないのだ。


 テレビの報道の方が情報操作(じょうほうそうさ)してると勘(かん)ぐった。それにその女性の遺体(いたい)の葬式(そうしき)の模様(もよう)がテレビに映ったが、どう見ても洋葬(ようそう)なのだ。和葬(わそう)じゃなかった。女性の親しい人が集まり葬儀(そうぎ)が行われたと報道されたが、私はアメリカ大使館の少女が殺されたのだと信じて後悔した。


 震災が遭(あ)ってBSも映る実家のテレビではネットで気にかけていた事がそのままテレビで流され、テレビ見ながらノートパソコンに意見を言うのが常態化(じょうたいか)してた。


 度肝(どぎも)を抜かされる事も、笑い転げる事も、美女ばかり現れて妄想をしてしまう事も多々あったのだ。


 ウキウキしていて半洗脳状態(はんせんのうじょうたい)だが、アメリカ大使館少女については私が見殺(みごろ)しにしたような気分に陥(おちい)るのだ。そしてこれは今でも払拭(ふっしょく)できていない。



 このように、自分の意図(いと)とは反して、私の些細(ささい)な言動から、闇雲(やみくも)に選ばれて、私の代理人のように、殺人を代行するグループができているように思われ、私の言動は慎重(しんちょう)を要(よう)されるようになっていき、どんどん窮屈(きゅうくつ)になっていく。死んで欲しくない人までが死んで行くんだ。


 リー・アレキサンダー・マックイーンと同じ日にホイットニー・ヒューストンが死んだのも同じように自分の責任に感じた。



 そして、どんどん幻聴は増して行った。幻聴に現れるのは彼女とヤクザの他に山本耀司さんや三宅一生さん、T7先生や川久保玲さん、皇室の方々など、普段から自分が憧れてる人や目上の人、それからその他大勢の自分を貶(おとし)めてくる人たちと多種多様(たしゅたよう)に渡った。子供の声まで聞こえてくるし、一つの一大ストーリーになって行ってしまう。


 追記:カダフィは死んだ方が良かったなどと書いてますが、カダフィが治めてたリビアはまともな国だったからアメリカに戦争で狙われたんだと言う認識に今は改まっています。金正日(キムジョンイル)に関しては死んだ方が良い独裁者(どくさいしゃ)だったと当時の自分は思ってたし、今の金正恩(キムジョンウン)政権(せいけん)を見ていても、北朝鮮と韓国の融和(ゆうわ)や拉致問題被害者(らちもんだいひがいしゃ)の帰還(きかん)など、思う所はありますが、他国の首相(しゅしょう)が死んで欲しいだなんて考えて罵(ののし)るなんて、今は馬鹿な餓鬼(がき)のする事だったと猛省(もうせい)しています。何気(なにげ)ない日常に、国際感覚(こくさいかんかく)や親切(しんせつ)や挨拶(あいさつ)や会話が、日本人のレベルや日本とはどんな国なのかを海外の人に伝える唯一(ゆいいつ)の手段であるはずです。申し訳ありませんでした。

 令和元年2019年9月28日午後5時頃、加筆訂正(かひつていせい)させて頂(いただ)きます。

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