大学時代14 2014-02-17

 タイミングが悪かっただけなんです。


 ある朝、私は一晩中考えて、これからは18を好きになろう。


 もう、一つ先輩の彼女のことは諦めよう。と決心した夜明けがありました。



 そんな時でした。18からメールが入って、植物園には「渋谷に一緒に行った友達と行けば?」という、なんとも投げやりなメールが入って来ました。



 私はがっくり来ました。大切な人を諦めた夜明け。これから精一杯愛そうと決めた人から次のデートのキャンセルのメール。今考えると、それだけで?って不思議に思いますが私はもう死にたいってその日一日中死ぬ事ばかり考えてました。



 私の大学時代は恋色一色だったんですね。それがなければ生きてる意味さえなかったんでしょう。


 今考えるとほんとに浅はかです。なんとか勉強一色にして希望の職に着く事はできなかったんでしょうか?


 全くもってお金がもったいないです。ですがそうした経験が今の私の人格を形成してるというのも間違いではありません。とにかく人に興味が旺盛にあった時期なんですね。



 私は初め、電車に飛び込もうとしました。


 向かって来る電車に向けて線路の上を歩いたんです。


 でも瞬時に怖くなって端の方へ身体が避(よ)けます。心底恐かったです。



 私はこんな恐い思いして死ななくてもいいやと商店街の薬局を梯子して睡眠導入剤を買い占めます。って言ってもお金がなくてそんなに多くは手に入りませんでした。



 それをマクドナルドで最後の食事をした後にひたすら飲んだんです。


 誰も止める人は居ませんでした。やっぱ東京ってこういう街だ。なんてそう思って被害者ぶって飲みました。


 一人で家で飲んで死ぬ勇気なんて無いくせに、そうやって24錠一気に飲んでしばらくして足に来ました。


 もっと飲めば死ねると薬局で買い足して48錠飲んだんです。


 トイレに入って一人で飲んでました。


 顔が紅潮して来て、ほんとに死ぬんだと意識した時、鏡に映る自分がとてもかわいそうに思えました。


 なぜだかわかりません。書いてて恥ずかしいですが、ほんとにそう思ったんです。


 マクドナルドに居た人に救急車を呼んでもらって胃洗浄してもらって事なきを得ました。


 もう溶けてしまった薬液は点滴で中和してもらったんです。



 起きた時は頭が痛かったし、コンセントがアニメの髑髏(どくろ)になってなんかずっとしゃべってる幻覚を見ました。


 タバコを吸ってベッドの上に落としてしまう幻覚も何度か見ました。



 そのうち、母が慌てて上京して看病してくれてた事に気づきます。


 オーバードーズしてからは現実感覚があまりなくて、誰と話しても何を見ても何も感じなくなったみたいに空気になったような居心地の悪い、というか居心地の無い心地がしました。


 それも段々と治って行くのですが、その後18と話すには200錠以上飲まなきゃ死ねないんだってよ。


 とか私完全自殺マニュアル持ってるけど、その最後に書いてあるのはねこの世はあんまり死ねないように作られてるってことなんだって、死ぬのは難しいんだよ。


 とか、セブンスターを三本、三日くらい水に溶かして飲めばもの凄い痛みと共に死ねるとかまるで、死ぬのをアドバイスするみたいな話題が続きました。


 自分のために死んでくれる人でも欲しかったんでしょうか?


 でも私が自殺未遂したことは知っていたんでしょうね。なんとなく、それはわかります。



 まぁ、この頃は病みに病んでたんです。片想いが袋小路(ふくろこうじ)に入って抜け出せなくて大学からも足が遠のき、辛(つら)い毎日でした。



 そこで、登場するのがH7先生でした。


 心理学の先生で、カウンセラーもやってましたから、先生の所に私もよく相談に行ったものです。


 H7先生の専門は恋愛心理学でした。


 H7先生の授業で、私も恋愛とはなんぞやということを勉強しました。


 私は恋愛も黒板を通して学んだんです。それくらい、恋愛が苦手でした。



 H7先生は言いました。


 恋をするとね、人は死にたくなるんじゃないんだよ。


 ほんとはね、生きたくなるんだよ。

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