大学時代8 2014-01-31
彼女に文化祭の頃、携帯のことを聞かれて、もしかしたら彼女と連絡取り合えると思い携帯を再度持ち始めました。ですが、彼女と連絡を取り合うことはなかったです。
私のアドレスは伝えましたが、携帯が鳴る事はありませんでした。
彼女との最高の場面を振り返った前回でしたが、わたしはまたしても冬休みを一人で乗り越えることはできませんでした。
蒲田のピンサロである女性と出会います。夜道をふらついてたどり着いたとこでした。
好みの女性と知り合えることなんて滅多に無いのですが、だいぶ年上の色香の漂う女性でした。
その人と連絡先を交換して、一度デートしたことがあります。
一緒に食事をして、ヴィーナスフォートを回りました。
その女性は昼間は看護師として働いていて、夜は店で働いてる女性でした。
終始大人としてリードしてくれた優しい女性でした。
私には仲間がいて、吞んで語らえる楽しいひとときがあるから大丈夫って何度か言ってました。
でも、少し変わっていました。手をつなぐ時、後ろにクロスさせたりお化け屋敷は怖いから絶対入らないと言ったり、天使は誰にでもついていると言ったり。
8年くらい着ているという、キャサリン・ハムネットの青いビロードのコートに身を包み私も昔スタイリストしてたのよ。なんて言ってました。
でもそれ以上、何もありませんでした。連絡はとっていましたが、友人がリストカットしちゃって、大変だ。とかそういうメールが届くようになって、危ないなと思い関係を断ちました。
その女性は看護してる人を刺し殺しちゃうような夢を見ることがあるって悩んでました。
それに対して私は、大丈夫だよ、人にはわからないことがたくさんあるからそのことだけで、あなたは悪い人ってはならないって言ってあげたら、優しいんだねって心底(しんそこ)褒められたことだけが今でも印象に残っています。
他にもありました。私は彼女を一途にひたすら追い求めたわけじゃなかったんです。
いつも、寂しくて悲しくて切なくて、彼女以外の女性にも、安らぎを求めてしまいました。
罪悪感を抱きつつも、悲しい性(さが)でした。男として出来が悪いんですね。
年頃の男でしたから。昔は痩せてたし、もう少しだけ浮いた話があります。
今ではどちらも大切な思い出なんで武勇伝じゃないですが書き留めたいと思います。
バレンタインのことです。私はやたらと図書館が好きで足しげく通っていました。
たくさん借りては、読めずに返すってことを繰り返してたし、勉強も図書館に持ち込んでたりしたし、映画も無料だったんで一人でヘッドフォンしてよく見てたりしました。
そのうち、司書の15と仲良くなり、軽口叩くようになったんです。
私がVISIONAIREの20号を読みたいって言ったら、すごく探してくれて、ヤフーオークションで100万円越えてたのを見てビックリしてました。
そのうち見れる図書館を探してくれて案内状まで書いてくれましたっけ。
でも見には行きませんでした。なんででしょう。理由は今もわかりません。
15がバレンタインをくれたんです。そのうちお昼を一緒に食べたこともあって
ホワイトデーのお返しには小さな瓶で安めだったけどドルチェ&ガッバーナの香水を選びました。
そんで図書館でお話して、大学が終わったらデートしようってなったんです。
目黒で落ち合って恵比寿ガーデンプレイスまで行きました。
割烹屋(かっぽうや)さんで夕食を食べて、映画を見たんです。『グッバイ、レーニン!』でした。
そのまま二人で手をつないで帰って、終電で別れました。
次は新宿で落ち合ったんです。最初から『赤目四十八滝心中未遂』を見ようってことになっててやってる映画館がテアトル新宿でした。
でもこの映画には濃厚な濡れ場があって、暗い映画館で我慢できなくなってしまった私は「キスしてもいい?」と15に詰め寄りました。「いいよ。だって私あなたのこと好きだから」って
そのままキスしてしまいました。
その瞬間(しゅんかん)頭に過(よぎ)ったのは彼女のことでした。越えてはいけない一線を越えたような気がしたんです。
そのまま口づけを離して、撓垂(もた)れ掛かり、脱力でした。15に映画館を出ようって言ったんです。
15は私の言うままに映画館を出ました。
二人並んで歩いて
「最後まで映画見たかったのに。」って私の機嫌(きげん)を伺(うかが)いながらキスしたことなんて何でも無い素振りで15は言いました。ホテルの前を通り過ぎる時、入ろうとも誘われました。
今思えば、入っちゃってしとけば良かった。なんて下衆(げす)な気もします。
据え膳(すえぜん)食(く)わぬは男の恥とも言いますね。でもレストランに入って色々おしゃべりしてその日は別れました。
そして、電話が鳴って、15からでした。
「もう、これで会わないようにしようって言うつもりだったんだよ。」って優しい一言でした。
でも、私は泣きそうになりながら、「オレだってそうだよ。」って
「オレ、図書館行くからね、あんなにいい場所ないんだから!」って言ってしまいました。
すると電話が切れて、明くる日に大学で図書館に行くと15は辞めていなくなっていました。
なんてことしたんでしょう。今でも15には申し訳ない想いでいっぱいです。
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