第4話
わたしたちは罰せられるの、とカデリは息も耐え耐えに、絞り出すように言った。
なぜ、と聞くと、いてはいけない存在だから。
わたしたちは逃げてきた。他の世界から、扉を通って。
そこでこの世界を見つけた。
ここでは緩やかに歳をとり、病気もない。
あのお方たちがおわすことは次第に知った。
毎晩来られるというわけではない。
数年に一回程度、それも1人だけその身を捧げる。
それだけでここは保たれる。
わたしたちに起こったことは他の人には伝える必要はない。
あなたにはここであとはゆっくり生きていってほしい。
食べるものはわたしが残っているし、生活に必要なものは一通り揃っている。
だから。
なにも心配しなくていい。
悲しむ必要もない。
ああ。
あなたはその必要はないのか。
息災…で…
息をしなくなった。
しばらくそのままでいた。
カデリをその腕に抱きながら。
どうしてそうするのか。
気遣うようにそっとその肌を撫で続けながら。
なにかが。
その肌に口ずけし。
込み上げて。
震えるように。
湧き上がってきた。
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