第6話 傷つけたのは

「ふぅなんか久しぶりに戦った気がするな」

「たしかに最近クロさんあんまりでないよね」

「まぁ平和なのはいいことなんじゃない?」



「優衣ちゃんけがしてない?大丈夫?」

「うん。平気だよ。真衣ちゃんは大丈夫?」

「うん。私も平気」



「やぁ君たち。よく来てくれた。君たちを呼び出すのは簡単だね」

「エル…!!」

「新崎優衣、新城真衣…君たち二人に、お願いがある。君たちの持ってるその力…俺に返してよ」

「えっ…?」

「だから、君たちの持ってるその力は、もともと俺のなんだよ。だから返して」

「私たちの力が、あなたのものって…どういうこと…?」



「その力は、俺の星の支えになってた結晶の力だ。でも俺はどうしてもその結晶が必要だった。だから、俺が星から奪ったんだ。アルと一緒に星を出て逃げようとした。なのに、あいつに邪魔されて、もともと一つだった結晶は四つに割れた。そのうちの二つはアルと俺が手に入れたけど残りの二つは、あいつが持ち去った。アルと俺は結晶の気配を追ってこの地球に来た。君たちが結晶を持っていることが分かった。でも、君たちの持っている結晶は不完全だった。だから、不完全な結晶を覚醒させようと君たちにいろいろやってきた、ただ君たちを見つけた時、まだ二人とも幼かったから、俺が下手に行動して、君たちに何かあったら困るから、のちのち、俺が動きやすいように、君たちには二人だけになってもらった」



「じゃあ、私たちの両親を消したのって…」




「そう。俺がやった。結晶は、何かを強く想う力で覚醒する。だから、君たちを二人だけにして、お互いを想う力を増やそうと思った。君たちの心を、お互いへの気持ちで染め上げることで、俺が本格的に動いたとき思い通りに動いてくれると思った。俺の狙い通り、君たちは思い通りに動いてくれた。おかげで思ってたよりも早く覚醒できた。さぁ、これでもうわかったでしょ?その力…ていうか君たちの持ってる結晶返してよ」




「返して…。」

「えっ…優衣ちゃん…?」

「返してよ…。私たちのお母さんとお父さん…返して!!」




よし。

二人が離れた。

片方は怒りで理性を失ってるし、もう一方は、ショックで動けなくなってるし。

このまま、結晶を返してもらう―!!




「ようやく…手に入れられた。君たちはほんとに、俺の思い通りに動いてくれるね。じゃあね。もう君たちに用はない」

これでやっと。

アル待っててすぐ行くよ―!!




「ゆいゆい!!まいまい!!二人とも大丈夫?」

「二人とも気を失ってるな」

「あいつ、二人がバラバラになってすぐに動いたな」

「動きが速すぎて何もできなかった…」

「とりあえず、二人を病院へ運ぼう」





「アル…。待たせてごめんね。やっと手に入れたよ。これでずっと一緒にいられるね。アル」

「エル…。僕のためにありがとう」

「どう?アル。元気になった?」

「…エル…」

「もしかして…変わってない?」

「うん…。そうみたい。エル、僕のために色々やってくれたのに、ごめん…」

「ううん。アルは何も悪くない。大丈夫。俺が絶対何とかするから」




エル…。

僕はホントに最低だ。

僕のせいでエルはたくさん傷ついたのに…。

エル…ほんとにごめん。






ここは…。

「あっ優衣ちゃん。目が覚めたんだね。おはよう」

「真衣ちゃん…。おはよう。私、どうして…」

「私もよく覚えてないんだけど…多分、エルに力を奪われたんだと思う。それで、二人とも倒れちゃったんだと思う」

「そっか…私が、頭に血が上っちゃったせいで、真衣ちゃんの事守れなかった…」

「ううん。私も、ショックで、何もできなくなちゃって…優衣ちゃんのそばにいられなくて…ごめんね優衣ちゃん」

「真衣ちゃん…」



「…?誰か来たみたい」

「るかさん達かな…?」

「私見てくる」



「えっと…誰…?」

「二人に聞きたいことがあるんです」

「優衣ちゃんと私に?」

「はい。エルに取られてしまう前に…」

「あなた、エルのことを知ってるの…?」




「そうですか…。もうエルに結晶を…」

「ごめんなさい」

「いえ。お気になさらず。私が守れなかったのが悪いんです」

「あの…あなたは、いったい何者なんですか?エルと同じ星の人…?」

「はいそうです。」

「あの、私もっと詳しく知りたいです。あなたの星のことも結晶のことも」



彼は、自分の星について、結晶についてそして、エルとアルについて話し始めた。



「私は、ライといいます。エルと同じ星のものです。地球からは、ずいぶんと遠くにありますが、とても栄えた星です。ですが、かつて我々の星は、ほかの星に侵略されつつありました。その時、我々の星の住人が、この星を守りたいとそう願い強く想いました。その強い想いが集まり結晶となりました。その結晶の力で、侵略者から星を守り、そして、侵略者によってめちゃくちゃにされた星を、元に戻しました。今、我々の星は結晶の力を使い、前よりも発展した星になっています。結晶は、我々の星にとって欠かせないものなのです。私は、結晶の守り神をしていました。ですが、エル達が結晶を奪いに来て、私は、結晶を守ることができず…」



「あの…結晶はどうして結晶は四つに割れたんですか?」

「実は、結晶の中には、精霊がいるのです」

「精霊…ですか」



「はい。おそらく、長い月日を経て結晶の中に生まれたのだと思います。そして、エル達のもとに、自分の力が渡ってしまうのを恐れ、結晶を割ったのだと思います。私は、割れた四つのうち、二つをエル達から守ることができました。そのまま、星へ戻ろうかと思ったのですが、私の持っていた結晶が突然どこかへ行ってしまって…。ずっと探していました。」

「それは、精霊さんが…?」

「はい。おそらくエル達から逃れるために地球へ行き、身を隠すために、お二人のところへ行ったのかと…」

「そうだったんだ…」



「ですが…おかしいですね」

「えっ…?」

「私は、結晶を探知する機械を駆使してお二人のもとへ来たのですが…もう奪われているのになぜ…」

「でも、私たち、確かに力なくなったよね…?」

「うん」

「そうですか…。大変ですエルがこちらに来ています!!」

「えっ」






「出てこい!!結晶をよこせ!!」

「エル…」

「お前は…ライ…!!なんでお前がここにいる。お前の姿なんか二度と見たくなかった」

「エル…」

「まぁいい。今は、お前にかまってる暇はない。新崎優衣、新城真衣…結晶をよこせ…!!」

「結晶は、あなたが奪ったはずでしょう…?」

「完全体ならアルは治ってるはずだ!!なのに、君たちから結晶を奪ったのに、アルは治らなかった…!!君たちが結晶に何かしたからだ。だから完全体じゃなくなった。寄こせ…結晶を寄こせ―!!」



「二人とも!!大丈夫?」

「るかちゃん…」



「はぁ…君たちはどこまでも邪魔だ。どいてよ。俺はそこの二人に用がある」

「なんで今更二人の事…」

「黙れ!!早く結晶を寄こせ!!」



「るかたちがあいつを何とかするから二人は…あれ三人?まあいいやとにかく逃げて!!」

「うんわかった!!ありがとう」




「行かせない!!」

「それ、こっちのセリフ!!」

「エル…この人たちは俺に任せて」

「アル…。でも、体のほうは…?」

「平気だよ…」

「わかった。くれぐれも無理はしないでね」

「うん。わかってるよ」




「ちょっとそこどいて!!」

「……」

「ちょっと!!るかの話聞いてるの?」

「もういいかな…。ごめんね。君の話はちゃんと聞いてるよ。でも、エルに気づかれたら大変だから」

「それどういう意味?」

「君たちにお願いがあるんだ」

「お願い?」

「エルを助けてほしいんだ」

「助けるって…。助けるならゆいゆいとまいまいのほうでしょう?何でエルを助けるなんて…」



「エルがああなったのは、僕のせいなんだ。僕がエルを傷つけてしまった。僕は、エルを止められなかった。だから、僕の代わりにエルを止めてほしい」

「エルの事、力ずくで止めることはできるかもしれないけど、それじゃ意味ないとるかは思う。あなたの気持ちちゃんと伝えたほうがいいと思うな」

「僕の気持ち…」

「うん!!だからあなたも一緒に行こう!!エルのところに」




「エルお願いだから、俺の話を聞いて!!エル!!」

「ライ!!誰がお前の話なんか聞くか!!嘘つきのお前の話なんか聞くわけないだろ!!」



「エル!!」

「アル!!なんで…そいつらと戦ってたんじゃ…」


「エルごめん。僕は、エルを傷つけた…ほんとにごめん。僕のせいで…エルもライも…」

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