第3話 守りたいもの
クロとの戦いが始まってから一か月が過ぎたころ。
優衣ちゃんと私は、戦いと仕事を行ったり来たりしていた。
どうしても戦えないときは、ほかの四人がカバーしてくれていたけど、それでも優衣ちゃんと私の体力は削れていった。
「うぅ…これ結構しんどい…アイドルの仕事して戦ってって…しんどすぎる…」
「真衣ちゃん…一緒に頑張ろう…?」
「頑張りたいけど…体力が…はぁ…疲れた。ていうか今日も仕事あるよね?今日は戦いたくない…」
「今日は…えっと撮影がいっぱいあるってマネージャーさんが言ってたよ」
「うぅ…仕事があるのはいいけど戦いがあるのがしんどい」
「そうだね…でももう少ししたらお仕事落ち着いてくるってマネージャーさんが言ってたよ」
「そういえばそうだった!!ねえ次のオフの日お買い物行こ!!」
「うん!!」
「ゆいゆい、まいまいクロが現れたよ!!今来れる?」
これホントにきついかも…。
来たはいいものの、なんかいつもより強い気がする。
全員苦戦してるみたいだし。
どうしよう…。優衣ちゃん守りたいけど体が動かない…。
このままじゃ、全員ヤバイかも。
どうしよう…。
戦わなきゃいけないのに、体が動かないよ…。
真衣ちゃんのところに行かなきゃ…。
真衣ちゃんを守らなきゃ…。
真衣ちゃん…。
体が動かない…。
もう、ダメ…。
私を襲おうとした、クロを倒したのは、私と同じくへとへとでまともに戦う体力も残っていないはずの優衣ちゃんだった。
「優衣ちゃん…!!」
「よかった…真衣ちゃんを守れた…」
そう言って、優衣ちゃんは意識を失った。
「まいまいそこで寝るの?おうちに帰らないの?」
「うん。帰らない。だって優衣ちゃんのそばにいるって約束したし。それに、優衣ちゃんが目を覚ました時、私がそばにいないと優衣ちゃんが不安がっちゃうでしょ?だからそばにいるの。そばにいたいの」
「そっか。ねぇ二人はどうしてそんなに仲良しなの?」
「どうしてって言われても…ずっと一緒にいるし、優衣ちゃんが私のこと大好きでいてくれるし、私も優衣ちゃんのこと大好きだし…」
「そっか~いいな~るかもそういうお友達欲しかったな~るか、見た目がこんなかんじだしよく周りから変だっていられるし…」
「そうなの?私はそうは思わないけど…きっと優衣ちゃんもそうは思ってないよ」
「ほんと?るか嬉しい!!ありがと!!まいまい!!じゃあるかそろそろ帰るね。またあしたね~」
「うん。また明日」
ここは…病院…?私…また倒れちゃったの?
でも、今回は一応覚えてる。
確か、真衣ちゃんが危なくなって、私が真衣ちゃんを守って…。
真衣ちゃん、私の手を握ったまま寝てる…。
可愛い…。
守れてよかった。
「ん~ふぁ~よく寝た~あっ!!優衣ちゃん!!おはよう」
「おはよう。真衣ちゃん。ちゃんと寝られたみたいでよかった」
「うん!!優衣ちゃんがそばにいてくれたから寝られたよ。それから、優衣ちゃん守ってくれてありがとう。私何回も優衣ちゃんに守られてるね。私が優衣ちゃんを守らなきゃいけないのに…」
「私、真衣ちゃんに守ってもらってるよ。だって真衣ちゃんずっと私のそばにいてくれるし。今もこうして私の手を握ってくれてるし。私のほうこそありがとう」
「優衣ちゃん!!大好き!!」
「えへへ…なんか恥ずかしい…けど、嬉しい」
「照れてる優衣ちゃん可愛い!!」
やっぱり、私が優衣ちゃんを守らないと。
守られてるだけじゃだめだ。
私、もっと強くならなきゃ。
優衣ちゃんはあんなにへとへとだったのに、私のこと助けてくれた、守ってくれた。
強くならなきゃ。
強くなって、優衣ちゃんを守らないと…!!
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