第14話 男は語る③

「小さな姫様の好奇心を誰が責められましょうか。姫は扉についている繊細な装飾を施された金色のノブに目を惹き付けられました。この扉の向こうがどうなっているのか、ほんの少しだけ見てみたい。そう思われたのです」


「姫はノブを握ってまわしました。開くはずはなかったのです。その日その瞬間が、たまたまやってきていた百年に一度の『 時繋がりの刻』でさえなければ」


「扉は開いてしまいました。姫は好奇心のままに扉の向こうへと入ってしまい、そのまま、【時の狭間】に囚われてしまったのです」


「元々、罪を犯した高貴な方々の為に遥か昔に使われていたこの部屋には不思議な力がありました。この部屋のこのベットで眠ると【忘却の檻】と呼ばれる別の部屋へと飛ばされるのです。そして、そこで寝覚める度に今までいた世界の事を少しずつ忘れていってしまいます」


「姫様もそうでした。そのうちに姫様はご自分のことも、それからどちらが真実ほんとうでどちらが虚構ゆめなのかも忘れてしまわれたのです」


「後は、お話した通りです。姫様のいなくなられた後、お妃様は嘆きのあまり儚くなられ、王はすっかり変わってしまわれ……国は……滅びました」

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