第9話 姫の行方

『姫さま!』

 呼ぶ声はもう、すぐ近くまて来ていた。


 わたしは急に怖くなる。

 どうしよう、どうしよう……。

 焦ったわたしは、とにかく元のドアまで走って戻っていた。


 幸いドアはそのまま、まだ、そこにあった。


 わたしはノブを掴んでまわし、ドアを急いで開けた。

 そうして、そのまま閉める。

 ドアが閉まった瞬間、声は遠ざかった。


 ホッとして部屋を見渡す。

 いつもの夢の真っ白な部屋。

 ベットもわたしが抜け出たまま。


 次に自分の姿を確かめる。

 手の大きさや素足の感じを見る限りはいつものわたしに戻っているようだ。


 白いドレスではなく、あの白いネグリジェに戻っている。


 一体、あのドアの向こうは何だったんだろう。

 何故、わたしは彼処あそこで小さな女の子だったんだろう。

 姫って誰?


 頭が混乱して上手く考えられない。

 わたしは酷く疲れたまま、ベットへと倒れ込むように戻った。


 今何時だろう?と壁時計を見ようとしたけれど眠気で目の前がボンヤリとなってしまい……。


 気がつくと、朝の光が差し込んでいて。


 わたしはいつもの自分の部屋で目を覚ましていた。

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