第4話
んー。僕放置されてない。
いきなり、ガチ百合勢後輩にシスコン野郎だとバレた事件が発生し、何も解決していないのに、嵐が過ぎ去って行ってしまった。
しかも、本日の妹とドキドキ下校の終了が確定してしまった。
はあ、帰ろ。
僕は、今し方まで読んでいた本を棚に戻すべく、席から立ち上がった。
夢咲学園って、全国屈指の蔵書数を誇っているので、まだまだ読んでみたい本があるのだが、心が折れてしまったので本日は帰ろう。
僕の手には、有名な題名の小説が握られている。太宰 治先生の『人間失格』。
最近、『人間失格』が作中に出てきたり、引用されてたりと、活躍しているので、僕も気になり読んでいたのだ。
、、、、何と言うか、僕にはまだこの話は早かったに違いない。
べ、別に、作品の内容が難しくて頭に入って来ないとかじゃないんだぞ!本当だからな!
「あの、先程の話し、聞いてしまいました」
消え入りそうな声がした方向に視線を向けると、そこには、瓶底眼鏡のようなグルグル眼鏡をつけたお下げ髪みの少女が立っていた。
何て言うか、ザ・地味系女子の典型!って感じの少女だ。
今時、ここまで安直に走る高校生は殆どいない。ある意味ギャクじゃないのかと疑うレベルである。
我が妹同様に猫背姿勢で、ピッと僕に指を突きつけてる。
なんかもう、地雷原しかない少女だ。
関わらないようにしよう。
そう思い、僕はそのまま回れ右をし、その場を去ろうとした、、、、が、ガシッっと腕を掴まれていた。
「あ、あの人違いだと思うで、離してもらっても?」
僕には、妹の
「さっき、『妹愛』の話しを熱く語っていましたね。もしかして貴方は、オタクではないのですか?」
そう言ってお下げ髪少女は、瓶底眼鏡をゆっくりとはずした。
そこには、そこそこ整った顔立ちの少女がいた。
へー。でも、まあ、興味ないね。
そのまま、扉へ向かおうとした僕の手をまたお下げ髪少女が掴み出した。
「あの、僕帰りたいですけど?」
「まだ、私の話し終わってないでしょうが!?というより、このアイドルフェイスを見て何の反応もないの!?不能なの!?」
「失礼な。初対面の人に何て事口走っているんですか?セクハラで訴えますよ?」
「いやいや!!私アイドルなんだけど!?私の顔に見覚えない!?ホラ!?ね!?」
そう言われて、彼女の顔をもう一度見直したが、これっぽっちも興味が湧かないし、記憶にもない。
というより、この自称アイドルは、もう手遅れってやつなのではないか?
だって、顔面偏差値普通のアイドル何て、直ぐに終わりだろう。
なのに、あたかも、今人気急上昇中のアイドルです然の顔が腹立たしい。
「生憎、そういうの間に合っていますので、さようなら」
「ちょっとちょっと!!私素顔まで晒したのにその反応って可笑しくない!?自分で言うのもなんだけど、今色んなテレビで引っ張りだこのアイドルなんだけど!」
「テレビあんまり見ないんで、それじゃあ」
「いやいや、ちょっとだけ話そ!?先っぽ、先っぽだけだからね!?ね!?」
鬱陶しいな。そして、なんて言うか、下品で押し売りの激しい人だな。
「わかったよ。少しだけなら」
「んっん。じゃあ、『妹愛』について話しましょ」
「別にいいけど。でも、それ別に他の人でもいいんじゃないの?」
「『妹愛』につい、あんなに語れる人は早々いないのよ!今の私があるのは、『妹愛』に出会ってこそなんだから!」
「はー、それで?とっとと本題に入ってくれる?」
「うぐぐ!」
お下げ髪少女の名前は、
僕と同じクラスらしいのだが、あんまり印象にないな。
「貴方、他人に興味無さすぎでしょ?まあ、良いわ。それに、私、アイドルの仕事で公欠しているから、あんまりクラスに馴染めないし。なんなら、アイドルバレしない為にいつもダサい格好してるし」
「へー」
「だから、貴方に話し掛けたのだって、少し勇気いるのよ?私って、アイドルだし?超有名人だし?だから、一般の人には近寄り難い空気っていうの?出でるかもだし?」
「ほー」
「まあ、貴方も、私の素顔を見てしまったら、私のファンになってしまうのも時間の問題ね?そのうち、距離を置くようになるのよ」
「はー」
「ねえ?さっきから、人の話し聞いてないでしょ?『へー』とか『ほー』とか、『はー』って、私をバカにするのも大概にしなさいよ!?」
「ひー」
「もー!」
うーん、少しやり過ぎたかな?
なんか、もう、すごい涙目になってる。
イジメてる感が出て来てるし、そろそろちゃんと話し聞いてあげるか。
ハァー。
「っで、『妹愛』についてだって?好きなキャラは、何なの?」
空星は、僕が質問すると、瞳を輝かせた。
「よくぞ、聞いてくれました!私のお気にの子は、ズバリ!
「よりによってそのキャラかよ」
「何を言っているのです!!黒髪清楚キャラってすごく萌えるじゃないですか!!そして、あの御御足から繰り出される蹴り!華麗な足技、罵詈雑言、手錠!何を取っても最高じゃないですか!?それにそれに、PSVitaで、あやせちゃんルートをやると、大半がバットエンド何ですけど!ハッピーエンドを迎えた時の達成感と言ったら、もう、最高じゃないですか!?私も、あやせたんに罵られたいです!!」
「真性のドMさんですか。そうですか。変態さんそれでは、さようなら」
ガシ!
「貴方も此方の世界に来ましょう?新しい扉がそこに待っています!」
「離してもらえますか?マゾヒストさん?僕の荒んだ心には、早く妹成分を吸収しないといけないんです」
「後半は、良く分かんないけど、分かったわ。貴方は、こちら側ではなく、反対側だったのね?それはそれで、相性が良いわね?
ねえ?私と付き合わない?」
「ゴミ溜に消えろ」
「んっぅうん!」
股を抑え崩れて落ちる、空星。
もう、手遅れだ。
世間様、何でこんな変態をアイドルとして持て囃すのだろうか?
とりあえず、瓶底眼鏡を装着させて、放置して帰ることにした。
早く帰って、この穢れた心を妹に癒して貰おう。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
私は、カエデに追いつくと、事の次第を追求しました。
返ってきたのは、
『っん。まあ、その、なんというか大体そんな気がしていた。さと兄ぃ、からも話し聞いてたし』
だった。
てことは、つまり!
「カエデは、私の
「いやいや、ならないから。と言うより、前から思ってたけど、アヤのその無駄にポジティブなのって、何処から湧いてくるの?」
「へ?現実から?」
何を言っているのだろう?
私と先輩が付き合い、そして結婚をするというロードはもう完成せれるのよ!
「ねえ、お願いだから、現実を見て?シスコンのさと兄ぃが、アヤに興味を持つことは無いって事は何となくだけど察しているんでしょ?」
「恋には試練が付き物!でもそんな障害、私と先輩の前では路頭の石も同じこと!なので、特に問題はないわ!」
「うん。問題があるとしたら、アヤの頭だけだよ?」
「え?この髪型ダメ?少し子供ぽかったかな?私も高校生だし、新しい髪型にチャレンジしようかな?」
「そっちの頭じゃないんだよなー。もうダメかもこの子」
たまにカエデは、私に哀れんだ目を向けるのよね?一体どんな意味があるのか見当もつかないわ!
それとも、大好きなお兄さん親友の私に取られるのがそんなに心配なのかしら?
「大丈夫よ!私の義理妹になっても、今まで通りに接するつもりだから!」
「ハァー。そうじゃないんだけどなー」
全世界で共通するのは、百合と後輩属性だって言うのは一般常識!
『妹愛』に出てくる、黒犬ちゃんだって、後輩キャラなんだから!
京乃ちゃんには絶対にに負けないんだから!
先輩を私色に染め上げて差し上げます。
うふふふふ、ファーっはははは!
この時、
これは、頭のぱっぱらぱーな少女–
果たして、二人は結ばれるのでしょうか?
ふふふ、それは神のみぞ知る。
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