第3話



夕焼けのオレンジ色の光が、窓から差し込み彩られる図書室。

皆さん大好き!夢咲学園の図書室です!

ちょっと、私的に、私語りをマジメにやるのがめんーーーんっん!ちょっと退屈なので、ふわってお届けします!

ちなみに、これは自慢なんですけど!夢咲学園の蔵書数ってかなりすごいんですよ!

なんと!三校舎揃って、六万冊以上もあるんですよ!

市立の図書館で、平均的蔵書数でいうと約十二万冊くらいなんですけど、それの半分くらいの本が一学園に蔵書されてるんですよ!すごくないですか!

私なんて、中等部校舎の図書室で、まだ読み終わってない本が数冊残っているのに、高等部校舎に移されちゃって、めっちゃ不機嫌なんですよ!

まあ、こっちはこっちで、色々と目移りしちゃいそうな本が何冊か、、、あったりします、、、けど。

おお!これはこれは!「アックス・アート・オンライン」じゃないですか!魔法が存在しない斧とか槍で戦うVRMMOというゲーム世界に囚われる、少年少女の話ではないです!

事件解決後も様々なゲームに行っては事件に巻き込まれ、色々な難事件を解決していく感動作品ではないですか!

私の家にも、全巻あります!中々良い趣味をお持ちじゃないですか!

ああ、これは!「マリア様が覗いている」じゃないですか!百合名作がまさかこんなところにあるとは!

中々、侮れませんね。っふっふ。

蔵書要望に、私の好きな百合系純愛ラノベを書き連ね、ゆくゆくは私だけの本棚を増設させてみせますよ!

、、、って、そんな話をする為に図書室に来たんじゃないんだった!

机や椅子などがある読書スペースに目を向けると、いました!先輩です!

先輩って、一週間に三回は、こうして図書室に入り浸り本漁っているんですよねー!

なので、本日は突撃した次第です!

そして、私の手には一冊のとある本があります。

ふふ。先輩、まだ、気づかれてないと、錯覚していますね。

実は私、とうとう分かってしまったのです。先輩の秘密を!

私が、後ろから先輩を見ていると、背中をビクッとした先輩が勢いよく振り向いてくれました。


「あの、佐藤さん?どうしてここに?」


先輩は、戸惑ったように私に話掛けてきました。

ふふふ。先輩も可愛い所があるんですね。

私なんかに、そんなに照れちゃって。エヘヘ。


「先輩と一緒にこれを読もうかと思いまして」


私は、手に持ってた本を顔の近くまで持ち上げました。

すると先輩の目は、本へと一直線に注がれていました。

にやり。計画通り。先輩は、


「そ、それは、『俺の妹がやはりこんなに可愛い』じゃないか。何で、そんな名作を!」


そう、これは、兄と妹が人生相談によって愛を育む純愛もののラブストーリーである。

だが、勘違いしないで欲しい、先輩は、別に

先輩は、この表紙のこのような黒髪清楚系の美少女(※妹である)が好みなんですよ!

先輩の読む小説には、こういう系の少女が多く出でいるので間違いありません!


「先輩には、是非とも、この作品について口述をお願いします。ふふふ」


★☆★☆★☆★☆★☆★☆


あれ?これって、シスコンなのバレバレ?

だって、佐藤さんが手にしているのは、紛れもなく妹ものラブコメラノベの王道中の王道、あれより先に語るものなしと呼ばれる、最強の作品である。

あまつさえ、それを口述しろと。

これは、僕の性癖モロバレ確定じゃないですか。はい、一発でお終いの核兵器が投入されました。

僕の学園生活はどうなってしまうのでしょうか?今後にご期待あれ!

、、、、ってな感じに終わらないのが、現実ですよね。

はあ、これは開き直るしかないか。


「えーと、『俺の妹がやはりこんなに可愛い』略して『妹愛いもあい』は、大手レーベル雷撃文庫から刊行され、大人気を誇った小説です。この作品には、様々なヒロインが現れますが、何と言っても外せないのが、主人公の妹である桐洲きりす 京乃きょうのちゃんである!黒髪清楚美少女とか、理想像過ぎて神かよって思ったファンは過半数を超えているとか。正に天に居らす神々作りし最強メインヒロインのは、当初から囁かれていたが、京乃ちゃんと兄とでは血の繋がりが有り、日本の法律上決して結ばれない禁断の恋である!だがしかし!京乃ちゃんを想う兄は、とうとう総理大臣に当選し、日本の法律を捻じ曲げ、そして結ばれるという、一大スペクタクルなはなしです」

「、、、、ぉおふぅ」


あれ?なんか、シスコンだって、今知りました的な反応されたんだけど。

もしかして、勘違いだった?


▲△▲▽▲△▲▽▲△▲▽


えーと、結論から言わせてもらいますと、なんか思ってたのと、違うものがあらわになったんだけど。

先輩って、重度のシスコンだったんだ、、、。

、、、っは!

ってそんなことじゃ私の恋は止まりませんよ!

それにシスコンだって言っても、リアルに妹がいる訳でもあるまいし。

リアルで結婚するのは、そう!私だと決まったようなものですよ!


ガラガラ


「お兄ぃーーー。そろそろ帰ろー」


そこには見覚えのある猫背の少女に、私の親友のような少女の声が聴こえてきた。


「っあ、失礼しましたー」


少女は、入ってきた扉を閉め何事もなかったようにいなくなった。


「ちょっとまって下さいよー!カエデ!カエデー!」


廊下をゆっくり歩く、友へと走って向かいました!全速力!

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