第30話 昼食
生活保護のワーカーが、数ヶ月に1度くらいこの施設にやってくるくらいで、ほとんどの事はこちらにお任せだった。頼めば生活保護のワーカーは聞いてくれるので問題はないのだが、やはりいつも事務的な感じがした。
立川が、次に田所を車椅子👩🦽に乗せて連れて来た。
「うわあ、止めてください!」
田所は、車椅子👩🦽に乗っているのが気持ち悪いのか、右手を上げたり下げたりして喚いていた。田所を席に着かせる。
「綿樫さんも席についてください」
新島村が、ふらふらと歩いていた綿樫を呼び止める。ここのユニットの三大車椅子👩🦽利用者が揃っている。ここに今朝転倒した鰐浜が加わるのだろうか。ユニットの半分近くが、車椅子👩🦽生活者ばっかりになるなんて。恐ろしいなあと思った。ふと車椅子👩🦽もこの施設で足りるのかな?とも思った。
「全員揃いましたね。今から口腔体操しますよ」
新島村が、声かけをして体操を始めた。声を出して体操をしてくれるのは、2、3人しかいない。佐久田が、一番口腔体操に付き合って声を出してくれていた。根が真面目だから、いつも声を出して口腔体操に参加してくれていた。口腔体操が終わり、利用者全員の手指をアルコールで消毒すると、綿樫に食前薬💊の抑肝散を服薬💊確認して飲ませた。
「いただきます」をしてから、入浴介助の服装から制服姿に着替えた小谷が、田所の食事介助に入った。新島村は、昼食を見守りながらパソコンに鰐浜昌子の受診の記録を記入していた。田所が、話しながら食事🍽️を摂るので、小谷は食べ物🍙で喉を詰めないか心配していたため、「田所さん、ご飯🍚の時に話すのは辞めましょう」と何度も言いながら、昼食の介助を行って来た。石清水慎吾が、上手いのか不味いのかわからず無言で食事🍽️を摂っていた。
電話☎️の外線が鳴った後、内線が鳴った。新島村が受話器📞を取ると矢澤施設長からだった。
「鰐浜の家族👪さんから電話だ」
矢澤施設長がそう言って内線が切れた。
「もしもし、お電話代わりました。先程病院🏥にお連れした新島村です」
「先程は、ありがとうございました」
娘様が電話☎️を掛けてくれたようだ。
「大腿骨🦴が折れているので、手術することになりました」
「そうでしたか」
「高齢だし、歩けないかもしれないと」
「そうだったんですね」
やっぱり、車椅子👩🦽生活になるのか。今まで元気な姿を見せていたので残念でならない。
「二週間ほどリハビリにかかるので、施設に戻るのはそれからになります。よろしくお願いします」
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