第29話 208号 西川ゆり

「石清水さん、台風も気になりますけど、お昼🕛ご飯🍚食べに行きましょう」

石清水にテレビのスイッチを切る事を促し、フロアに向かう。食事🍽️中も、テレビ📺に夢中になって手🖐️が止まる事がよくあり、食事🍽️を促す事が多々あった。居室から出ると、綿樫がまだ立って待っていた。


新島村は結構、綿樫トメに気に入られていた。

「どうしたんですか?」

「あんた、待ってたんやんか!」

綿樫が素直に自分の感情を言ったので、新島村は少し嬉しくなった。

『こういった気持ちを自分に対して、五十川が持っていてくたらなあ』とふと思った。この気持ちは、小谷に持っているのだろう。石清水に座席に着くように促す。


西川ゆりの入浴🛀を終えて、小谷が急ぎながらフロアに案内していた。少し西川の髪の先が濡れていた。グレー混じりの髪の毛を肩まで伸ばしていた。昔はスナックを2店舗ほど経営しており、西川は何となくオシャレな雰囲気を感じさせた。この施設に持って来た服装もセンス🪭がある服装だった。


未婚で財産はほとんど無く、このユニットの中で、唯一の生活保護受給者だった。キーパーソンとして姪がいるのだが、現在は体調を崩し入院🛏️していた。姪が元気な時に施設にやって来た際に、「叔母は、今まで自由奔放な生活をして来て、老後になって面倒を見させられるのは迷惑な話だ」と愚痴をこぼしていた。


若い頃の西川は、さぞモテと気がする。好き放題勝手気ままな生活を送っていたのだろうか。今ではアルツハイマーになって、会話が成り立たず職員からの指示が入らなかった。トイレ🚽に誘導すると、排尿、排便💩が見られるので定時誘導での介助が必要だった。トイレ🚽も定時誘導していた。


時々服薬💊の拒否があったり、夜間不穏になり眠前薬💊があるのだが、服薬💊を拒否して困らせる事があった。夜間落ちつかず居室から出て来ると、夜勤帯の薄暗いフロアにあるテーブルの椅子🪑をキチンとテーブルの下に収めたり、移動させたりすると夜勤者が話していた。また時々、202号室の傍我薫の居室のドア🚪を開けて首を突っ込んで左右を見渡したりしていた。夜勤帯は数ヶ所の電気💡を落として見守りを行うので、自分が経営したスナックと雰囲気が似て来るのか、客が来なくてソワソワしてように見えるらしい。3つ子の魂、百までもといった所か?


さすがに椅子🪑を持ち上げて移動させたりすると、「止めてください」と止めに入るらしいが、「何で?」て言って反発するらしい。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る