転倒事故
第22話 211号室 鰐浜昌子の転倒 202号室の横原昌美
翌日、眠たい目🥱を擦りながら日勤帯で出勤をした。職員の男子更衣室で紺色の制服に着替える。2Fに通じる階段を昇り鉄製の防火扉をあけ、ユニットの入口に着いているロック🔐を暗証番号を打ち込み解除し、ドア🚪を開け中に入った。
昨日の夜勤をしていた島部が眠たい目👀を擦りながら、早番の小谷祐樹と何かを話し混んでいた。
「どうしたんですか?」
そう訊ねながら、タイムカードの打刻をパソコンのアプリで行った後、島部が、ため息混じりに言った。
「211号室の鰐浜昌子さんが、朝4時半頃に転倒したんだよ」
出勤してから職員間が書いたり、知らせたりする申し送りノート🗒️を確認しようとキャビネット🗄️を開けた手🖐️が一瞬止まった。
「転倒って?」
新島村は咄嗟に訊ね返した。
「大丈夫なんですか?」
「わからないな。朝4時半頃に、谷河さんのナースコールが鳴って、谷河さんのポータブルトイレの介助に行ったんだよな。その間に、例の如く鰐浜さんが伝い歩きしてトイレ🚽に入ったんだよな。トイレ🚽の方向からドーン!と聞こえてさあ」
「漫画の喪黒福造ですね?」
新島村の一言に周りが一瞬固まった。
「新島村さん、その冗談笑えない😆。止めてください。✋また今の若い子には、わからないです。言っても絶対に何、それ?っていいますから」
小谷が、少しムッとした顔で言った。新島村は、こう言う時にこそ、冗談をわざと言う気遣いをわかって欲しかった。
「頭を打っているかどうかはわからないんですね」
小谷が島部に確認する。
「谷河さんに、『待っててな』とポータブルトイレに座ってもらってて、介助していたからね。駆けつけた時には床の上で尻餅ついたようになっていて、多分転け方から見て、頭は打っていたいないとは思うよ」
「慌てて車椅子👩🦽を持って行って、座ってもらい居室に誘導したんだ。履いていたパットにも少量尿があったし、便器の中に排尿も多量にあったので、立とうとして転倒したみたいだな」
「何処を打ったんです?」
「とにかく頭は打っていないみたいだね。施設長に電話☎️したんだけど出なくて、で、仕方なく小谷リーダーに電話☎️したんだ。頭打った様子が無ければ、取り敢えずまだ朝☀️が早いし、様子を見ながら寝てもらったらと言われたんだ」
「自分1人でトイレ🚽に行く人だから、見守りと言っても常に付いているわけにもいかないしなあ」
小谷が、そう独り言ように呟いた。周りの誰かに、自分の心内を聞いて欲しいと思ったのだろうか。
「ずうっとついて行く訳にはいかないですからね」
眉間に皺を寄せ腕を組みながら言った。彼は週1回くらいのペースで夜勤をしているのでよく状況を把握しており、今回の事故の背景に何があるのかを理解出来ていた。
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