第15話 小規模多機能の介護職員五十川智恵莉
「何しているの?」
「えっ?」
そう言って、少し驚きながら振り返った。
「帰る🐸時間でしょう?後はやっておくからいいよ」
島部は、「おつかれさん」と言って谷河百合子の居室に向かって行った。
「ありがとう。では帰ります」
そう言ってドアを暗証番号を解除して外に出た。すごすごと帰る。何もかも不満だった。認知症の入居者と過ごし、何の生産性も感じない。ましてこの給料💰なんかで、とても生活が楽だとは言えない。
彼女もいない。夢もない。モテない。介護福祉士の資格も、ケアマネジャーの資格も無い。ないないずくしの5連続だった。
出入口の暗証番号のロック🔐を外す。番号は、何ヶ月かに1度変える。今回は『0623』だった。矢澤施設長の誕生日🎂が番号らしい。何故施設長の誕生日🎂が暗証番号なのだろう?知りたくも無いし、知っている分、その暗証番号の日が来たらどうするのが我々の職員の正解なのだろうか?暗証番号を変更した時、少し嫌な気分になる。全職員が、施設長の誕生日🎂を知らなければならない、知っているというのも変な感じだった。
2階から鉄の扉🚪を開け、重い足取りで非常階段を降りて行くと1階に着いた。突然、目の前
の事務所に繋がる鉄のドア🚪が突然、内側に勢いよく開いた。予期していなかった新島村に「ドーン」と肩とおでこに勢いよくぶつかり撃沈した。
「痛っ!」
目の前から突然、数発の星⭐️が出た。思わず額を抑え声を上げながら尻餅をつくと、「あっ、ごめんなさい!」と開けたドアから駆け寄ってきた女性がいた。痛みに耐えながら顔をゆっくりと上げ目👀を開らくと、ピンク色のウィンドブレーカーが見えた。
1階の小規模多機能の若い女性介護職員の五十川智恵莉だった。瞳👀が綺麗だった。思わず眺めてしまった。まるで外人のように茶色の瞳👀をしていた。
仕事場なので、まさかカラーコンタクトは入れてはいないだろうし、天然の瞳👀の美しさだった。
同じ建物🏠内とはいえ、小規模多機能型とは業務的には繋がりが全くなかった。だから、小規模多機能型の職員の顔はわかるが、普通は名前も知らないといった所だった。しかし、五十川だけは余りにも可愛いかったので部署が違うにも拘わらず名前を知ろうと調べていたので知っていた。だからといって、変態呼ばわりは止めてくれ!
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫」🙆
やせ我慢を言ってみる。可愛い子に「大丈夫か?」と訊ねられたら大抵の男👨は、反射的にみんなそう言うはずだ。
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